ドコモは、スマートフォンや監視カメラなどの映像から、個人情報を削除した上で人物の行動や興味関心を可視化する技術を開発した。これにより同社は、「⼈の情報」集積のハードルを下げ、実店舗や商業施設などにおいて映像による顧客属性や動線分析などを実現。店舗改善や商品開発への活⽤を目指す。
本技術では、2次元映像から人物の骨格などの3次元情報を取得する。そのため、3次元バーチャル空間上で実際の人物・顧客行動を追体験するなど、従来とは異なる映像・顧客分析の活用につながると予測されている。
映像から人物の骨格情報などの必要なデータを取り出した後、顔や服装などの個人情報を映像から削除。人物の骨格を線で描画する。個人情報を自動で削除するため、プライバシーを保護した上で人物行動の可視化が可能だ。
また、削除した人物の背景を自動で生成するため、モザイクなどの加工映像と比較して自然な映像になるとのこと。
本技術適用前の映像は「docomo MEC(TM)」網へ送信・加工されるため、サイバー攻撃時の情報漏えいリスクを軽減しながら、人物・顧客行動を分析できる。
スマートフォンや監視カメラなどで撮影した映像から、人物の滞在時間や目線、物体タッチの情報を取得し、映像から自動作成した3次元のバーチャル空間上に投影することも可能。
たとえば、本技術をコンビニエンスストアや商業施設の店舗などで利用すると、顧客人数のカウントや性別・年代推定に加え、顧客の商品タッチ・目線、店内動線・立ち止まりのヒートマップを取得できる。
これらの顧客行動データを参照すれば、手に取られやすい・目に入りやすい棚や商品、通行量の多いメイン通路、商品購入時に比較検討されやすい商品などを特定可能だ。商品配置の変更や人流改善などの施策検討、さらにはリアルタイムでの実店舗でのサイネージ変更など、高度な店舗マーケティングへの活用へつながる。
さらに、近年注目されているメタバースと、映像から人物行動を取得する本技術が融合することで、実空間で行動する人々をバーチャル空間へ転写。バーチャル空間上の人物とともに楽しめるテーマパークなど、新しいサービスへ活用できる可能性もある。
同社は2023年4⽉から本技術を用いて、コクヨ、ドコモグループの法⼈事業を担うNTTコミュニケーションズとともに、オフィス空間内の⼈物⾏動可視化に関する実証実験を行う予定だ。
客観的なオフィス評価の実現に向け、歩⾏および立ち止まり箇所のヒートマップなどを取得。コクヨのオフィス内で従業員の⼈流や⾏動の解析を⾏い、本技術の有効性をともに検証する。