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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECホットトピックス

越境EC担当者のサステナビリティを考える 国内ECにも通ずる注意点・評価のポイントは?


 通信環境の発展やライフスタイルの変化により、EC市場は年々拡大しています。コロナ禍で国をまたいだ人の行き来が難しくなったことを契機に、越境ECに挑戦し始める企業・ブランドも増加傾向にあります。Shopifyなど越境ECを容易に開始できるプラットフォームが発展し、参入のハードルが下がる一方で問題となるのが「担当者」の仕事のありかたです。無理のない目標や業務量の設定など、サステナブルな越境EC運営の秘訣を世界へボカン株式会社の徳田さんが紹介します。

悲劇を起こさないために 経営者・担当者間の認識の齟齬をなくそう

 昨今、越境ECに力を入れる企業・ブランドが増えています。「海外向け販売で売上目標を達成する」ことを目標・成果ととらえた時に、達成を左右する重要な要素のひとつが「担当者」です。

 このポイントをしっかりと理解している経営陣は少なく、担当者の取り組みをきちんと評価できていなかったり、反対に担当者側が自身の取り組みを過大評価してしまったりすることは少なくありません。この認識の齟齬は、貴重な担当者の退職や転職を助長させてしまいます。

 そこで今回は、「売上が伸びてきた矢先に担当者が辞めてしまった……」ということが起きないよう、越境ECに携わる経営者、担当者双方の視点から踏まえるべき注意点について解説していきます。「越境EC」を軸にお伝えしますが、国内ECに当てはめても同じ、もしくは近しい部分は多いので、ぜひご覧いただければと思います。

越境ECは経営者・担当者双方にとって新たなチャレンジと理解する

 「新たに越境ECに挑戦するので、コンサルティングに入ってほしい」と当社にご相談をいただいた際、実際に話を聞きに行くと、先方の担当者があまり乗り気でないケースは往々にして存在します。

 社長直下のチーム、新規事業部として期待されているはずなのになぜだろう、と思うのですが、この時担当者は心の中で「既存業務ですでにいっぱいいっぱいなのに、さらに未知の越境ECにチャレンジしなければならないのか……」と、内心大きな負担を感じていることがうかがえます。その一方で、経営者はアサインした担当者のことを評価しており、「新しいことにチャレンジする機会を与えている」と思っています。こうした双方の期待と現実のミスマッチが存在することが、あまり越境ECに積極的でない、前向きに取り組むことができない担当者を生むことにつながっていると考えられます。

 日本国内ですでにEC事業を展開していて、越境ECに新たにチャレンジする場合、すぐに成果が出るケースもあれば、日本国内とは勝手が違いうまくいかないケースももちろん存在します。そのスピード感は、次の3点によって異なってきます。

  • 商材特性(どのような価値を提供する商材なのか)
  • どのようなプラットフォームを活用するのか
  • すでにBtoB卸で海外流通しているか否か

 商材特性とプラットフォームについては、「価値のマトリクス」をもとに説明できればと思います。

 たとえば、「評判価値」「実利価値」の部分に該当する商材をモールで販売する場合は、成果が出るまでのスピードが速く、「共感価値」「保証価値」商材をShopifyなどで構築した自社ECで販売する場合は、成果につながるまでにかなりの時間を要します。モール運営と自社EC運営では求められるスキルセットも異なりますので、経営者がこの点について理解することも必要です。

 すでに越境BtoB取引を行っており、海外の実店舗で販売がされているのか、完全に市場開拓から始めなくてはならないのかによっても、成長のスピード感は変わってきます。

 とくに日本国内で売れているサプリメントや化粧品、D2Cブランドの場合、国内売上をベースに初年度から数億円の売上を期待されるケースも少なくありませんが、これはかなり難易度が高い目標です。商品力がある場合、たとえばブランドバッグや時計の場合は、中古品でも仕入れの優位性があればモール活用で売上を生み出すことが可能となっています。

 越境ECに新たに挑戦する場合は、こうした現実を理解した上で売上目標を設定し、経営者、担当者双方で合意形成をすることが重要です。当社で越境ECプロジェクトを支援する場合は、企業・ブランドが設定している目標や販売手法が現実的なのかを、すでに市場参入している競合他社のデータを見ながら確認しています。

ポイント

  • 経営者は、越境ECを任せる担当者のキャパシティを理解することが必要。新しいことにチャレンジする際は、前向きにとらえてもらえるように既存業務量の調整を行う
  • 担当者は、商品特性や活用するプラットフォームをベースに、現実的な数値目標を設定できているか見直す。すでに市場参入している競合他社のECサイトを分析し、定量的かつ現実的な目標値を上長に伝える

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この記事の著者

世界ヘボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希(トクダユウキ)

「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションのもと、デジタルマーケティングを活用した日本企業の海外進出支援・販路拡大を多国籍メンバーと共に14年以上にわたって行い、年商30億→500億に売上を伸ばすなど、数多くの実績を残す。海外ウェブマーケテイングに携わる傍ら、YouTube で年間100本以上の動...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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