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2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.18特集「Cross over, Enthuse fans!~店舗、スタッフ、EC&デジタル活用の次なる一手~」

顧客が考えるきっかけ作りを コールマンの新プロジェクト「MFYR」 変化への適応と自然との共生を語る

 流行りに乗ったサステナビリティではない。古くからの思想を反映した新たなチャレンジとは。 ※本記事は、2021年9月24日刊行の『季刊ECzine vol.18』に掲載したものです。

 人々のライフスタイルにも大きな変化を及ぼした新型コロナウイルス感染症の流行。さまざまな業界が苦戦する中で、昨今のキャンプブームや、密を回避しながらもレジャーを楽しむ新たな需要が後押しし、着実に売上を伸ばしているのは、コールマンジャパン株式会社だ。同社は、2021年6月にサステナビリティの理念を体現する新プロジェクト「MFYR」をスタートし、アウトドアを楽しむ顧客以外からも注目を集めている。1901年にアメリカで創業した老舗 アウトドアブランドは、変化する市場においてどのような取り組みを推進していくのだろうか。発信したいメッセージや今後の展望について、同社マーケティング本部 マーケティング ディレクターの根本昌幸さんに話を聞いた。

コールマン ジャパン株式会社 マーケティング本部 マーケティング ディレクター 根本昌幸さん

廃棄テントをバッグに再生 新プロジェクト「MFYR」

 コールマン ジャパンが2021年6月に立ち上げた「MFYR」は、廃棄物に新しい命を吹き込むことで、サステナブルな循環型社会を目指す新プロジェクトだ。第1弾として、流通過程でやむなく廃棄されてしまう自社商品のテントやタープを再利用し、「MFYRトート」「MFYRサコッシュ」「MFYRバケツトート」の3種を製造・販売。9月以降、新商品4種の販売を開始する予定となっている。

 アメリカ発祥のグローバルブランドであるコールマン。商品の多くは海外で製造されているが、MFYRは「日本国内でできることはないかと考えていく中で、日本独自のプロジェクトとしてスタートしたもの」だと根本さんは言う。

「コールマンの商品は、昔から『ロングライフ製品を目指す』というコンセプトを掲げています。この理念に基づき、廃棄品をもう一度蘇らせることができないかと考えたのが、同プロジェクトの始まりです。社員でアイディアを出してデザイナーにも参加してもらい、軽くて丈夫で耐水性もあるテントの生地を、日常使いのバッグに生まれ変わらせるという案が形になりました」

 MFYRのバッグはメインの生地のみならず、持ち手やショルダーなど付随する部材も可能な限り廃棄品のパーツからピックアップしている。デザイナーが1点ずつ工場に指示を出して縫製される、いわば一点ものだ。廃棄品を再利用するため、大量生産は仕組み上難しい。そのため、現時点ではコールマンオンラインショップと直営店のコールマン昭島アウトドアヴィレッジ店のみでの販売となっている。

 MFYRというプロジェクト名は、「MOVEMENT FOR YOUR RIGHT」の頭文字を取り名付けられた。直訳すると「あなたの正しさに基づいた行動」といった意味だが、根本さんはプロジェクト名に次のような想いを込めたと語る。

「当社だけがこのようなプロジェクトを実施しても、世の中のサステナビリティは成立しません。お客様に『自分にもできることがある』と気づいてもらい、MFYRに触れたことをきっかけに、さまざまな行動につなげてほしい。当社を起点に積極的にサステナブルについて考えるムーブメントを起こしたい。そう考えています」

 時代の流れを汲みながら、コンセプトとデザインを両立させたMFYRの商品は、発売当初から既存顧客の枠を越え、予想以上の反響を見せている。新たな顧客接点を生むきっかけになることも判明したため、継続的な商品展開、新たなラインナップ拡充も検討しているそうだ。

「現在はテントとタープから商品製作を行っていますが、寝袋などほかの商品に新たな命を吹き込むことも可能だと考えています。運用フローなどの検討は必要ですが、お客様が長年利用した愛着あるキャンプ用品を何らかの形に再生するのもおもしろいですよね。ただし、同プロジェクトの評判が良いからと言って、MFYR用に廃棄品や既存商品の生産数を増やしてしまっては本末転倒です。無駄なものをなくす、余剰品を活用するという思想に基づいた上で、さらにできることを探っていきたいと思っています」

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この記事の著者

松岡 亜希(マツオカ アキ)

フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。● http://pubapart.com/

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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