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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

インバウンドビジネス最前線

4言語対応越境クラウドファンディングJapan Tomorrow 世界から支持を得る成功の方程式とは


 サービスや製品の必要性を世に問い、ネット上で資金を募るクラウドファンディングが浸透して数年。その世界版、すなわち「越境クラウドファンディング」サービスが2020年10月にリリース。訪日・在日外国人向けメディア「MATCHA」運営会社による「Japan Tomorrow」である。サービスを立ち上げた齋藤さんにJapan Tomorrowでの事例や成功法則を聞いてみた。

お金やモノは旅できる 越境クラファン「Japan Tomorrow」とは

——「Japan Tomorrow」とはどのようなサービスですか?

齋藤 ひとことで言うと、4言語に対応している越境クラウドファンディング(以降クラファン)です。クラファンと言うと「ウチ、お金に困ってないし」「お金に困っているように見られるのが嫌だ」とおっしゃる事業者の方もいらっしゃいます。誤解しないでいただきたいのですが、Japan Tomorrowの一番の特徴は、外国人の方と「接点」を持てること。プロジェクトを通して、日本を旅するきっかけ作りができればと思っています。新商品や旅行商品の海外テストマーケティングなどに活用いただくことも可能です。

インタビューに答える齋藤慎之介さん
株式会社MATCHA CMO 齋藤慎之介さん

——Japan Tomorrowのリリースはいつですか?

齋藤 リリースは2020年の10月です。僕達が運営する訪日外国人観光客向けWebマガジン「MATCHA」の読者数が、コロナの影響で7割くらいどーんと落ちまして。日本にいらっしゃる方が情報を集めるために利用しているウェブサイトなので当然ではありますが。情報を更新しても反応が薄い日々が続き、何かやらなきゃと考えていた時期に、クラファンシステムを提供している企業さんから「越境クラファンやりませんか?」とお声がけいただきました。

 その時、すごくピンときてこう思ったんです。「今は外国人が日本へ旅行することはできないけど、この越境クラファンを使ってもらうことで、お金やモノは旅できる」と。加えて、日本に来るきっかけを作ることもできる。このコンセプトは「MATCHA」と同じです。ならばやろうということで、一気にリリースまで突き進みました。単に海外にモノを売るというような発想ではやらなかったかもしれません。

https://japantomorrow-jp.matcha-jp.com/

——これまでに掲載されたプロジェクトをいくつか教えていただけますか?

齋藤 「聖地・熊野に向かう巡礼の道、世界遺産「熊野古道」の巡礼風景を守りたい!」は、多くのお金が集まりました。30万円の「熊野古道1泊2日のミステリーツアー」というリワードを購入してくださったアメリカ人の方もいらっしゃいました。実施目的は「道の保全」ターゲットは巡礼や自然文化保護に興味がある方と明確でした。

「聖地・熊野に向かう巡礼の道、世界遺産「熊野古道」の巡礼風景を守りたい!」プロジェクト画面

 たとえば、古い道案内看板を寄付金で「このようにきれいにします」とビジュアルで見せるなど、掲載の仕方も工夫していました。購入してくださった海外のお客様は、アメリカ、オーストラリア、フランスなどの欧米の方々が多かったです。熊野古道は、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの道と姉妹巡礼道でもあり、海外の方にも認知度が高いこともあるでしょう。

古い道案内看板を寄付金で「このようにきれいにします」  <figure>

 僕自身も購入したのですが、「Friends of Kumano Kodoメンバーズカード」には、シリアルナンバーと自分の名前が入っていてとても立派でした。「熊野古道に来る際、このカードを持ってきてくださったら記念品をプレゼントします」という意味合いの、感謝のメッセージも同封されていました。このカードとメッセージが手元に届いたら「コロナが終息したら熊野古道に行きたい」と思うはずです。

Friends of Kumano Kodoメンバーズカード

 「コロナ禍と豪雨災害を乗り越え、旅館山城屋「大女将秘伝の味噌」を世界へ届けたい!」という事例もあります。山城屋さんは元々8割が外国人客でしたが、コロナの影響で減ってしまい、なんとかしなきゃと夕食に出していた味噌を商品化し、海外に販売することにしました。どうやらゲストから「茄子の味噌田楽にのっている味噌は販売していないんですか?」と聞かれることが多かったようなんです。正直なところ、「海外の方が味噌買ってくれるかな」と不安はあったようですが、プロジェクトはあれよあれよと売れ、日本人も含めて128人の方がサポートしてくださいました。うち外国人は7割くらい、台湾、シンガポール、香港、アメリカ、イギリス、オーストラリア等の方々です。

 成功の要因は、山城屋さん自身の広報施策が素晴らしかったこと。テレビ、新聞などのメディアで取り上げられたり、Facebookの更新もマメで、「今日、どこどこの国の方に味噌が売れました」など住んでいる国の写真等も載せて、具体的なアピールをしていました。

山城屋の皆さん

 「神と仏の融合!!大分県国東半島に1300年伝わる奇祭「修正鬼会」総集編特別ライブ配信!!この伝統行事を未来へ繋げる全てはここから始まる・・・」もJapan Tomorrowで支援させていただきました。「100年使える湯のみで、ワークスペースに煎茶を。」は、クラファンプロジェクト終了後も、Japan Tomorrowで販売させていただいています。

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プロジェクト終了後も越境EC等で支援へ 一発屋で終わらせない

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この記事の著者

浦澤 修(ウラサワ オサム)

ライター・編集/株式会社オージャパン 代表取締役 浦澤修

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/9451 2022/01/14 17:10

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