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D2C、OMOの壁をぶち破る!『コンバージョンしてなんぼのECで売上をアップする方法』著者に聞く

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問われる「あなたから買う」理由 デジタル人材への育成が急務

――オムニチャネルがブームになった頃にも、結局のところ「売上がネットに奪われる」という課題は解決しきれなかったでしょう。しかしコロナ禍により、ようやくその壁が崩壊したのではないですか?

藤原 とても難しい問題で、まだ壁はあると思います。「ネットでもリアルでも、そのブランドから買ってもらえればいい」とは言いますが、その際に社員や店舗、店舗統括部署の評価基準をどうするのかという課題は根強く残っています。もうひとつは外部へ公開する「財務会計」にまつわる課題です。リアルビジネスをやってきた企業は、既存店が昨年度より成長すること、新規出店によりさらに売上が増えることで、企業が成長していることを社外に示してきました。リアル店舗がショールーミング店舗になり、決済がアプリになって売上がネットに紐づき、リアル店舗の売上が下がった時に、社外に成長を示せるかという話です。そもそものビジネスモデルを抜本的に変えなくてはならない。企業にとっては、とても大きなハードルだと思います。

 人の評価にもかかわってきますが、店舗が強いビジネスモデルだったからこそ、1人ひとりの販売員の独自性がそこまで問われなかったのも事実です。しかしながらデジタル化が進むほど、独自性が問われるようになっていきます。本書でUSPについて書きましたが、1人ひとりのUSP、「だからあなたから買いたい」が問われるようになる。しかしながら、USPが明確にできる人材になってもらうような教育制度は整っていません。Instagramの使いかたは教えられても、1人ひとりがUSPに沿ってどうInstagramを活用するかは教えられないわけです。デジタルマーケティング部に所属する人材とはまた違う意味での、デジタル人材を育成するプログラムが求められています。これが整備できないと、今企業が抱えている「人」という資産が有効活用できなくなってしまいますから。今後3年間は、この取り組みにチャレンジしたいと思っています。

――OMOは本当にたいへんなことなんですね。そして、理屈としては藤原さんが言うことが正しいのはわかるけれど、実際に現実を変えるのは難しいことですよね。

藤原 お客様に向かい合って仕事をする、に尽きるんですけれどもね。上司や他部署、競合他社を見て仕事をしてしまうと、ひとつのチームになって進めない。経営陣は、お客様に向かい合って会社を変えられるかを突きつけられています。アメリカのようなプロ経営者の時代が来るかもしれませんね。会社が変われば、本来の意味での複業も実現するのではと考えています。

――最後に、本書『コンバージョンしてなんぼのECで売上をアップする方法』をどう活用いただくと良いのか、それぞれの立場の方にメッセージをお願いします。

藤原 まず、現場で頑張っている人たちに向けてですが、今は仕事が細分化されていますよね。自分が担当している部分はよくわかっているけれど、それ以外は知らない・経験がないことが多く、上司に「別のことに挑戦したい」と申し出にくい状況にあると思います。本書を読むことで、自分の担当業務以外のマーケティングのやりかたを広く浅く知ることができますし、自分の業務についてもそのやりかたが本当に正しいか、もっと成果を上げる方法があるのではないかと考えるきっかけになると思います。もし、現状で立ち止まっているように感じているのなら、本書を読み、もっと深く掘り下げたり、違うやりかたを取り入れるといったことにチャレンジしてほしいと思います。

 次にECの責任者の方は、今取り組んでいる施策や全体のマーケティングにおいて足りていない部分を、本書を読むことで見つけてもらえればと思います。また、マネジメントにも役立つはずです。現場のメンバーを育成する際に、どの部分を意識してサポートしたら良いのか、どういう言葉で伝えたらより伝わるのかのヒントが見つかるはずです。

 最後に、経営陣の方たちに。デジタルマーケティングはスピード感も早く、従来やってきたこととはかけ離れたマーケティング手法だと感じるはずです。そのため、外から入ってくる情報、他社の取り組みに流されがちです。しかしながら重要なのは、自社ができていること・できていないことを正確に把握し、どの部分から重点的に取り組むかを判断すること。そのためには、そもそもデジタルマーケティングとはどのような考えかたなのか、俯瞰し正確な情報を得る必要がありますが、本書を読むことで役立つ知識が得られると思います。ツールベンダーさんから提案を受ける際にも、投資すべきか否かの判断の下敷きになるはずです。また、ECを任せている現場の方と話す際に、言葉がよくわからないといったこともありますよね。「わかるように説明せい」の一点張りではなく、目線を合わせてあげるためにも、本書で得た知識をもとに歩み寄っていただければと思います。

――新年度ですし、ECの部署に異動してきた方にも読んでほしいですね。とはいえ忙しいでしょうから、本書のボリューム的にもゴールデンウィークの読書の1冊に加えていただくと良いかもしれません。藤原さん、ありがとうございました!

祝・書籍化!『コンバージョンしてなんぼのECで売上をアップする方法』

デジタルマーケティングでコマースを制す コンバージョンしてなんぼのECで売上をアップする方法

ECzineの人気連載「僕がコンバージョンしてなんぼのマーケティングで成果を出せる理由」に加筆修正を加え、240ページ(プリントオンデマンド版の場合)の書籍にまとめました。

チームづくりから、商材・メディア別、施策別のデジタルマーケティング活用術まで、まさに「デジタルマーケティングでコマースを制す」ためのノウハウが詰まっています。

ECやデジタルマーケティング部門に異動した新人さんの教科書にも、業務を遂行する際の手引書としてもお使いいただけます。孤独になりがちなEC担当者に寄り添う1冊として、ぜひお手元においてください!

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