国内向けの通常のECオペレーションを変えずに海外販売も行える
独自ドメインのECサイトにJavaScriptのタグを1行埋め込むと、海外対応のカートが表示される「Buyee Connect」。IPアドレスで海外からのユーザーであることを確認し、海外ユーザーであっても購入でき、海外発送が可能であることをポップアップ表示。そのポップアップとともに海外ユーザー用のカートが常に表示された状態となる。
商品購入の際には海外カートに遷移。海外ユーザーにとって馴染みのある決済手段で決済でき、国内EC事業者にとっては代理購入者のBuyeeによって日本円で決済が行われる。購入された商品は、Buyeeが指定する国内住所に発送することで、Buyeeが海外ユーザー向けに海外発送してくれる。越境EC用に在庫を確保する必要もないわけだ。
「EC事業者様にとっては、国内の消費者向けに行っているオペレーションがまったく変わらないのが特徴です。大手モール様とも多数提携させていただいており、年間365日稼働して月数十万件の代理購入を行っています。海外から大量の注文が入ったとしても、当社のオペレーションが滞ることはまずあり得ません」
なお、出品型のBuyeeでは初期費用・月額費用が無料だったところ、「Buyee Connect」の場合は初期費用3万円、月額費用4,500円となっている。海外ユーザーがBuyeeに対し、代理購入の手数料や送料を支払う仕組みは変わらない。
「越境EC向けのサービスは他にもありますが、翻訳・カスタマーサポート・決済・物流など個別のサービスではなく、海外販売に必要なものをトータルプラットフォームでご提供するのが当社の強みです。タグ1行埋め込むだけで、従来の自社サイトの世界観を活かしつつ海外ファンに商品を届けることができます。また、当社が国内で代理購入を行っているため、チャージバックなど不正決済のご心配は不要ですし、返品については、商品を海外へ発送する前に当社において検品を行うため、国内と変わらない件数を想定していただければと思います。
さらに、海外ユーザーの購買体験向上のためサービスを磨き込んでいます。サイトやカスタマーサポートは10言語に対応、お問い合わせにはチャットも含め24時間365日対応しています。配送は118ヵ国に行え、独自の物流手段で料金は最安200円からと国内よりお安い場合も。直近では北米向けの配送料から最大76%ほど下げることも実現できています。さらに、たとえば台湾であればコンビニ受取に対応するなど、ローカル物流に対応すべく現地とのパートナーシップを強化しています。
事業者の方が海外販売を行う本来の目的は、“海外対応すること” ではなく、“海外の消費者から売上を作ること” かと思います。海外対応関連のサービスをご検討の際は、事業者側の導入条件だけではなく、海外の消費者視点で、どういった料金が発生するかどのようなサポートが提供できるかなど、 売上に直結するユーザー向け機能や経済条件も重要視することを強くお勧めします」
買いたくてもあきらめている海外ファンがSNSで見つかるかも
コロナ禍でリアルの活動が制限されたことにより、売上減少に悩む企業も少なくない。インバウンド観光客に頼っていた企業などはなおさらだ。2020年にECへの注目が高まったのは、リアルビジネスのみで展開してきた企業がECで売上を立てようと動いたことも大きい。ECに不慣れな企業にとっても、「Buyee Connect」のリリースは朗報だろう。しかし本間さんは、「越境EC対応する“だけ”ではリアルで失った売上の大半をカバーすることはできない」と言う。
「実は、訪日経験があったり日本製品に興味のある人たちのすべてが、越境ECや代理購入のサービスを認知しているわけではありません。以前サイトを訪れ、海外配送不可の文字を見たきりあきらめたという人も少なくないのです。我々が現地に向け、代理購入の仕組みをアプローチすると、『こんな方法があるとは知らなかった』『日本に行けないけれどネットで購入できてよかった』『国を超えて商品が届くなんてうれしい』といったお声をいただく機会が増えています。リアルの売上をカバーするためには、越境ECや代理購入の手段を知らない方たちへのアプローチも不可欠だと言えます」
とはいえ、まったくゼロから告知を始めなければならないわけでもない。海外ファンは、企業やブランドのSNSにたどり着いていることが多い。ならばSNSで、「ECサイトで海外からも購入できる」といった発信を行うだけでも反応があると言う。関心を寄せてくれている海外ファンを、取りこぼさないような取り組みが重要だと本間さんは説く。