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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

運営堂がゆくEC業界対談

デジタル接客で「店舗とECの壁」は崩せるのか プロに聞く!販売員に活躍してもらうためのコツ

売れる販売員は話さない!? インスタライブがすぐできないワケ

森野 久保田さんはメルマガも書かれてますよね。販売員さんのメルマガ執筆はどうですか?

久保田 得意な人、書きたい人がいれば抜擢するというのはすごく良いと思います。コロナ禍で売上が上がらず悩んでいる人のモチベーションアップになるでしょうし。すべての販売員ができるかというと、それは文章力によりますね。

森野 動画はどうですか?

久保田 最初からひとりで全部は難しいですね。目の前にお客様がいれば噛まずに話せるのに、動画だと噛んでしまうとか。カンペを用意してもどもってしまったり。インスタライブでうまくいっているのは、コロナ禍以前から取り組んでいる人たちでしょう。チームで取り組み、撮影するスタッフに向かって話してもらうとうまくいくことが多いです。

平山 販売員の研修では、ペアになり、接客トークを動画で写し合う取り組みをしています。様子を見ていると、スマホの画面ではなく、持っているペアの相手を見て話していますね。目の前にいる、特定の誰かに向かって話すとうまくいくのはよくわかります。

久保田 自然に笑顔が出るところもいいですよね。

平山 ある程度素人っぽいところが残ったほうが、その店舗で実際に作っていることが伝わるのではないでしょうか。完璧なものができてしまうと近寄りがたいかもしれない。

久保田 短い動画を撮ってLINEに流したら、お客様から「見たよ~」とお声をいただきました。アイテムについて3つほどポイントをお伝えする、テレビCMくらいの短いものです。慣れてきたら、徐々に長い動画を作っていけばいいですよね。

森野 販売員さんは、話すのが得意な人が多いのかと思っていました。

久保田 話すのが得意で売る人もいますけど、ほとんど自分は話さずにたくさん売る人も多いです。お客様がいかに自分のことを話すかに重点を置いていて、「そうですね」「いいですね」「こちらはいかがですか」と返す程度です。だからインスタライブのように一方的に話すスタイルは、販売員全員がうまくできるとは限らない。

森野 デジタルでもリアルでも、丁寧な接客を受けたい人が多いんでしょうか。私はズボラなもので……、性別によって違いがあったりしますか?

久保田 私の経験ですけれど、女性は否定の否定を求める方が多いと思います。「これ、似合わないよね」「そんなことないよ、似合うよ」というやりとりです。男性は買うと決めていらっしゃる方が多いので、肯定の肯定で「似合う」をお求めですよね。そこが接客のおもしろさなんですが、現状のAIチャットには難しいかなと。

森野 その流れで、おふたりに感想を聞きたい記事を見つけました。販売員さんには当たり前のことを、わざわざデータ分析したような気がしたんです。もうちょっと現場の人に聞いたら、あっという間に解決したんじゃないかと。

 まずYahoo! JAPAN IDの会員のうち、ブランドがターゲットとする「25~35歳の女性」が、「服装」をキーワードに検索したデータを分析した。ヤフーが開発したディープラーニングのAIモデル「意図判定モデル」を用い、服装に関する困りごとや悩みごとにまつわるキーワードを抽出。その結果を基に、「ロングスカートに合わせる服で困っている」「身長面でロングスカートを着こなせるか悩んでいる」「シルエットを細く見せたい」といった仮説を立てた。
 次に、それまでの商品開発の手順通りに座談会を開き、参加者に対してこれらの仮説をぶつけてみた。すると、実はロングスカートの着こなしに関して多くの人が困りごとを持っていることが明らかになった。
 そこで「体形をカバーできる」「自転車での巻き込みを防ぐために丈を短くする」「抱っこひもを付けたままでもポケットが使える」といった機能面での工夫を凝らしたロングスカート製品を開発し、19年9月下旬に発売。初週売り上げでは、過去一番売れたロングスカート製品と比べて約2.6倍の売り上げを記録したという。
初週売り上げ、過去最高! 異例のロングスカートが生まれたワケ ヤフーと三越伊勢丹が見抜いた「隠れた欲求」」(ITmedia)より引用

平山 「ロングスカートに合わせる服で困っている」「身長面でロングスカートを着こなせるか悩んでいる」「シルエットを細く見せたい」は接客の現場でもよく聞きますね。ここでは簡潔にまとめられていますが、もっとさまざまな仮説が出ていて、販売員には思いつきもしなかったようなものもあったと思います。

久保田 「客室乗務員の声から作った」とかありますよね。それに加えて、きちんとしたデータがあると、企業は商品開発をよりしやすくなるというのはあると思います。販売員は好みが入りますからね。先程話に出てきた「ある店舗だけで売れている商品」は、その商品が大好きな販売員が工夫して売っている面も大きい。そういった理由だけでは、企業は追加生産などは行いにくいでしょう。データはあったほうが良いと思います。

森野 失敗しないためにも、どちらかに偏らないほうが良いということですね。

平山 販売員への聞きかたにもコツがあるんですよね。たとえば週報に意見を聞く欄を設けるというやりかたを取り入れたとして、週に一度書く際に、その販売員の印象に残っていることが優先されていては、データとしては弱い。販売員の意見だけが絶対ではないので、データと組み合わせることは重要だと思います。

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デジタル接客で終わらない 販売員のポテンシャル活用に必要なこと

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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

ECZine編集部です。ネットショップ運営に役立つ情報をお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

森野 誠之(モリノ セイジ)

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサ...

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