レビューで納得感のある買い物体験を
レビューやクチコミの重要性に触れてきた山崎氏だが、果たしてどれほど効果があるのだろうか。
海外の事例では、レビューが10件になるとCVRが1.5倍に、50件では2倍になるというデータもある。日本国内にはレビュー機能を搭載しているECサイト自体が少なく、そのインパクトを感じる機会はあまりないが、Amazonなどのマーケットプレイスでレビューが1件もついていない商品に食指が動かない心理は、想像に難くない。
ZETAは、商品検索エンジンでトップシェアを誇る「ZETA SEARCH」、レビューエンジンの「ZETA VOICE」、OMOソリューションの「ZETA CLICK」をはじめとした6つの製品を「ZETA CXシリーズ」として提供している。ZETA VOICEは、デジタルシフトへの投資に積極的なアパレル企業の活用実績が多く、導入後の返品率低下への貢献に大きな期待が寄せられている。レビューを読むことによりユーザーが納得感を持って商品を選べるため、「想像していたものと違ったので返品」というケースを減らせるそうだ。
また、レビューを商品開発の材料として有効に活用している企業もあると山崎氏は話す。ZETA CLICKは実店舗に来店したユーザーのレビュー閲覧や商品検索をサポートし、ECだけでなく実店舗の使い勝手も向上させるというコンセプトのOMOソリューションだ。
2019年夏にはZETA初の試みとして、レビューアプリの提供が開始されている。ZETA VOICEで投稿された各サイトのレビューをアプリで閲覧することができ、ユーザーの好きなサイトやレビュアーのレビューをお気に入り登録すれば、自分だけのレビューリストを作成することも可能だ。パーソナライズ機能も備わっており、フォローしたレビュアーのレビューやお気に入りに入れた商品が優先的にタイムラインに表示される。レビューの詳細ページから商品の販売ページに遷移して購入することもできるため、レビューを重視する若年層の購買を喚起する有用なトリガーとなり得るだろう。
ZETA CXシリーズの強みは、主力製品のZETA SEARCHを筆頭に、扱うデータや流通額の規模が大きい点にある。年間に処理する総クエリ数は800億以上、CXシリーズ全体の総流通額は1兆7,600億円以上で、15兆円規模と言われる日本のEC流通総額のおよそ10%を占める。大手ECサイトの導入実績が豊富で、EC売上高ランキング上位100社のうち25%の企業に導入済だ。
山崎氏は最後に、「今回のECzine Dayのメインテーマであるサブスクリプションの広がりによって、購買層の情報感度の高さが浮き彫りになり、レビューの価値が改めて見直されるべき時を迎えています。コマース全般はもちろん、継続して利用されるためにより高いCXを実現しなければならないサブスクリプションにとって、当社のZETA CXシリーズがその取り組みを支える有効なパーツになると思います」と語り、セッションを締めくくった。