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「全体発信×個店」CRMの時代が来る 中川政七商店・緒方恵さんとお店の話をしよう

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 コメ兵の藤原さんが、一見ECとは関係ないようにも見える人たちやECど真ん中の人たちとお話しすることで、EC、そして「オムニチャネルの次」を探そうという趣旨の対談シリーズ。第7回は、11月に渋谷スクランブルスクエアに日本最大旗艦店を出した中川政七商店の緒方恵さんが登場です。

すり合わせにコストをかける 中川政七商店流センスの磨きかた

藤原(コメ兵) 商品だけではなく、店員のユニフォーム、ウェブサイトのデザイン、LINE@の配信面など、世の中に出していくものすべてがブランドになりますよね。その基準の取り決めはあるんでしょうか。皆が「これが中川政七商店だ」という共通する思いを持っているから任せているのか、緒方さんなりがチェックしているのか。

緒方(中川) 前提としてブランドの総監督は社長です。その手前で「つくる」チームと「伝える」チームの取締役が地ならし~品質管理を担っています。店舗のスタッフ、接客、オペレーション、設計、LINE@、EC、自社メディアに書く記事やシステムといったものは、私の統制下にあります。中川政七商店らしい姿勢の有り様に加えてたくさんのオペレーションがあるので、可能なところは徹底的に言語化やマニュアル化して、それを回すことで管理しています。

「つくる」チームと「伝える」チームにブリッジするミッションは、各部署入り乱れて議論します。たとえば新しいMDやブランド、ミッションワードなどを開発する時は、両チームで3日くらいかけて大きなホワイトボードでビジョンマッピングをしたり。商品とバナーのトンマナであるとか、この言葉は良い/悪い、好き/嫌いというすり合わせには、かなりコストをかけています。

藤原(コメ兵) 「つくる」チームからも、「伝える」チームが出してきた言葉に対して意見や提案が出たりするんですね。

緒方(中川) そうですね。役割分担は線を引くものですが、チームワークは線を曖昧にするものですから。たとえば次の3月に出る新商品「最適包丁」の商品名は、「伝える」チーム側の提案です。そういうことがシームレスに起きます。

藤原(コメ兵) 「伝える」チームが命名した場合、「つくる」チームからはどんな反応が来るんですか?

緒方(中川) どちらかがピンときてない時に議論が発生するものなので、最初はお互い一定量の「?」マークを頭に抱えながら、なんとか伝えたい内容を言語化し合って、少しずつ理解をし合い、着地点を見出すのみです。中川政七商店でたいへんなところのひとつとして、まさにこういう時に「その場で即言語化して伝える」ことが、高い品質で求められる場面が多いということはあるかもしれません。

その包丁は、ロジック半分・情熱半分の完璧なバランスで商品開発が進んできていて、あまりに完成度が高いため、みんなとても気合いが入っているのですが、そのクオリティに対して適切な商品名が出きっておらず、モヤッと感は作るチームも持っている状態だったので「あ、それいただきます!」という具合にスッと決まりました。

藤原(コメ兵) みんな納得感があったんですね。

緒方(中川) 商品開発におけるファーストサンプルチェックの際に、言いたいことを言い合いますからね。藤原さんがおっしゃったとおり、ブランドの体験は、商品や店舗など、さまざまな総合体験が組み合わさったもの。「つくる」チームがつくったものをそのまま売るだけでは「伝える」チームは代理店になってしまうし、「伝える」チームが強すぎてプロダクトがマーケットインに寄りすぎても、どこにでもあるお店になってしまう。

双方がぶつかり合い、シナジーが出るポイントをすべて見つけ出してアウトプットできるように努めてますので、結論が出るまで時間をかけて議論します。同時に、その時間をどう短くするかも大事なので、脳をその場でフル回転させて違和感や共感を言語化する能力は、ある意味全員が等しく鍛えるべきポイントですね。

藤原(コメ兵) とはいっても、センスに依るところが大きいですよね。そこをレベルアップさせるためにやっていることはありますか?

緒方(中川) まず、いちばん力を入れるのは採用です。その時はまだ技術が足りないかもしれないけれど、同じ世界観が思い描ける・同じ価値観を持っている人を適切に採用する。センスを鍛えるには、たくさん各部署における打席に立ってもらうこと、たくさんインプットしてたくさんアウトプットしてもらうことに尽きます。

たとえば商品企画においては、正当な技術で作られた完成度の高いものにたくさん触れること。それが、正しくないものや完成度の低いものに触れた時に対して抱ける「違和感の感度」を上げてくれます。一方、流行しているものに触れることももちろん大事です。

藤原(コメ兵) 壁打ちみたいですね。出たものに対して「これってこうじゃん」。また出たものに対して「こうじゃん」をやり続ける。

緒方(中川) 鍛えかたは人それぞれですが、やはり量は必要です。そうして鍛えたセンスとともに、「日本の工芸を元気にする!」という自覚と誇りが備わっていると、僕たちの場合は強い人材になります。センスをレベルアップさせるためには?という質問に対する答えは、「たくさん触れる・打席に立つ」と「日本の工芸を元気にする!」という自覚があるか。そのためには、ビジョンを共有できているかに尽きますね。

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