変化に対応しやすいのが運用型広告のメリット
第3の「オリジナルタイプ」は、サプリやコスメなどのいわゆる単品通販が分類される。商品数は少ないが、自社開発商材が多いため利益率が高く、定期購入によるリピート率も期待できる商材が多い点が特徴だ。
このタイプが検索連動型広告を運用する場合、たとえば「青汁」「化粧水」などの一般キーワードは競合企業の多くが入札し、クリック単価も高くなる。そのためCPAが高く、売上につなげることが難しい。そこで、衝動買いを促せるディスプレイ広告を中心に運用すれば、クリック単価も低く、潜在的なニーズを掘り起こし、購入につながると言う。
「このタイプはLPが肝要です。広告文やクリエイティブにこだわりつつ、LPの検証を常に行いましょう」
メンズ、レディースの幅広い商品ジャンルを扱うユニクロやニッセンのようなアパレルブランドは「総合タイプ(A)」にあてはまる。指名買い、衝動買いのいずれにも強く、商品数の多さが特徴として挙げられる。
このタイプで重要なのは、広告配信で全商品が網羅されていることだと言う。そのためには動的検索広告のようなテクノロジーを駆使し、自動化によって抜け漏れのない広告運用を行うべきだと山元氏は語った。
「商品数が少ないオリジナルタイプは、広告文にこだわることがポイントでしたが、たとえばユニクロのように商品数が多いブランドで全商品の広告文を手動作成していては担当者が倒れてしまいます。このタイプは、運用型広告のテクノロジーを活用し自動掲載に任せることが重要で、動的検索広告や動的リマーケティング広告をやっていない担当者は早急に手配を進めたほうが良いでしょう。また、指名買いも多いので有名ブランドタイプ同様、指名検索時の流入導線を確認することも大事です」
これまで紹介した1〜4にあてはまらない商材は「総合タイプ(B)」に属する。ドレスや生花、振袖などが例として挙げられる。総合タイプ(A)同様、商品数は多いが指名検索は少なく、季節やイベントによって需要が大きく増減するという特徴を持つ。
このタイプの広告運用のポイントは、季節やイベントに沿った広告費や検索キーワードの調整にある。ブランド名よりも「母の日」「結婚式 お呼ばれ ドレス」「プレゼント」といった一般キーワードからの獲得ボリュームが非常に大きいため、掛け合わせなどの抜け漏れがないかを確認する必要がある。また商品数が多いケースが多いため、動的検索広告のようなテクノロジーを活用する必要がある点は、総合タイプ(A)と共通している。
山元氏は、「5タイプ理論はあくまで『型』」だと強調した。紹介したポートフォリオはあくまで売上の最大化を目指した場合です。また、ブランドの認知度や商品単価、各企業において重視されるKPIはさまざまあるため、これらのポートフォリオをもとに自社の商材と相性の良い広告を整理できてから、やっとスタート地点に立てるのだと言う。
広告メニューの仕様やテクノロジーは日々進化し続けている。山元氏は運用型広告の最大のメリットを「変化や進化に対応しながら運用できること」だと話した。
最後に山元氏は、運用型広告配信の原点についてメッセージを残し、講演を締めた。
「運用型広告で一番大切なことは、誰に何を届けるかです。自分たちが届けたい人たちを想像しながら配信することが成功の要になると思います。運用型広告は効果が可視化しやすいぶん、費用対効果の話に終始しがちですが、自分たちが良いと思ったものをユーザーに届けるメッセージのひとつだということも忘れずにいてほしいです」