コミュニティ=圧力鍋の熱量が高まっている状態
川添(V) 今のコミュニティは、およそどれぐらいの規模感ですか?
木村(A) おそらく2,500人くらいだと思います。僕らはマーケットのトレンドがどうのこうのではなく、その2,500人のためにモノを作る。コミュニティ中心で考えると、販売単価や買い上げ客数ではなく、ユーザー数が命なんですよ。参加したくなるユーザー数が増えれば増えるほど、会社に価値が生まれる。その人たちが良いと言ってくれれば、「周りの人」が勝手にそれを見て入ってきてくれます。
川添(V) 最近、大企業のマーケターの中でも「コミュニティ」というキーワードが話題にあがっていますが、果たしてその周りにもコミュニティは波及していくのか、ということが論点になっています。その「周りの人」にまでコミュニティの輪を広げていくには、何が必要だと思いますか?
木村(A) 以前、僕らのブランドを使ってくださっている家入一真さんと話していたときに、「コミュニティって何ですか?」と聞かれて思ったのは、コミュニティって圧力鍋みたいな感じだなと。僕らが製品と一緒に圧力鍋で待っている中にみんなが入ってきて、「めっちゃいい」「もうこれしか着れない」という声が高まっていくと、鍋の圧力がぐっと上がる。その熱量が高まった状態がコミュニティ。そこの蓋を開けてその熱量が漏れた時に、また新しい熱が入ってくる。
ほかのブランドを見ていると、圧力が高まるのを我慢できずに開けてしまうケースが多いのではないかと思います。そういう意味では時間も必要ではないでしょうか。
僕らは無名だったし、広告もほとんど出さなかったこともあってか、初期のお客さんがめちゃくちゃ熱いんですよ。店舗に来るとなかなかお店の中に入らず、外から眺めて感慨にふけっているお客さんもいます。本当にありがたいです。
文章は話し言葉で コンテンツ制作で気をつけていること
川添(V) 少しECに近いお話も伺いたいのですが、オールユアーズのクラウドファンディングや商品詳細ページの説明文などを読むと、読み手との距離が近いように感じます。オールユアーズのECサイトなどでコンテンツを作るときに、譲れないポイントはありますか?
木村(A) 話し言葉で書くことです。というのは、僕がとても影響を受けた本に、糸井重里さんの『インターネット的』があります。その中に、「インターネットの文章は目で聞かせろ」というようなことが書いてあるんです。基本的に日本人は縦に慣れているから、横の動きに慣れていない。だから文章の長さはなるべく短く横に20文字ぐらいで、耳で聞いた時と同じ言葉を使いなさいと、スタッフにも伝えています。だから「いたします」という言葉を使っていたりすると、「『いたします』なんて普段言わないだろ」と(笑)。
僕らのコンテンツを見たい時って、なにか高尚なものを読みたいわけでもないので、「読んでいる人に語りかけるように書く」ことを大事にしています。コマースで動画を使うなどトレンドになっているものは色々ありますが、僕らはそういったコンテンツをどんどん作る予算があるわけではないので、まずは話し言葉で書くということを徹底するようにしています。