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「コミュニティ=圧力鍋」オールユアーズと考える、ECにおけるファンづくりの在り方【後編】

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 アパレルEC関連のさまざまなゲストをお招きし、ビジョナリーホールディングス(メガネ スーパーの親会社)でEC・オムニチャネル推進を統括する川添隆さんと対談していただくこのコーナー。前回に引き続き第17回は、ライフスペックをコンセプトに日常生活で感じるストレスを解消する製品を開発・販売している、オールユアーズの代表取締役兼ライフスペック伝道師、木村昌史さんが登場です。

「コミュニティから歓迎されないとダメ」
オールユアーズが描くビジネスモデルの理想

川添(ビジョナリーホールディングス、以下V) 前編では、オールユアーズ創業の思い、コンテンツや製品において大事にしていることなどについてお話きました。そのなかで、いちばん大事にしていることとおっしゃっていた、ファンづくりやユーザーファーストの考え方について、もう少し詳しくお話いただけますか。

木村(オールユアーズ、以下A) ファッションのマスマーケットで考えると、「ファンを消費した」と感じています。僕は音楽が好きなのですが、音楽とファッションはすごく密接に関わっていますよね。たとえば、ヒップホップとかパンクが好きな人の服装はだいたい見ればわかるように、ファッションと音楽などのカルチャーとの結びつきは強い。ですがそのカルチャーと絡めて消費を促しすぎたせいで、ファンを消費してしまった。コミュニティから削り取ったような感じがします。

ビジョナリーホールディングス 川添さん(左)/オールユアーズ 木村さん(右)
ビジョナリーホールディングス 川添さん(左)/オールユアーズ 木村さん(右)

川添(V) なかなかそこから脱却するのは難しいですよね。おそらくBtoCのビジネスを立ち上げたばかりの頃はわかっていたはずです。いつの間にか、どのようにファンを育てていけばいいのか、どうやってブランドとして徳を積んでいけばいいのか、ということがわからなくなってしまったケースは多いのではないかと思います。

木村(A)そうなんですよね。僕らのビジネスモデルの理想はパタゴニアです。ポイントは、すべての行動を一致させている、というところです。

パタゴニアが環境保護に力を入れる理由は、環境が破壊されると遊ぶ場所がなくなり、遊ぶ場所が減れば、アウトドアブランドであるパタゴニアの商品は売れなくなるから。彼らは環境が保護されている状態であれば、ブランドを持続させることができる。つまりずっと繁栄し続けることができると考え、そこに投資をしています。CSRとしてやっているという軽いノリではなく、あれがビジネスの源泉なんですよね。環境保護に投資すればするほど、マーケットからお金が返ってくるという構造を自分たちで作ったんです。

そういう意味で僕らは、ファッションビジネスではなくコミュニティビジネスを行っていると思っています。コミュニティの人をいかに巻き込んで、正のスパイラルを作っていくか。モノではなく、コミュニティありきのビジネスモデルなんです。

その考えを突き詰めていくと、モノを作らなくていい、という発想にもなってくるんですよね。そこで、お客さんの洋服を持ってきてもらって、それを再加工する事業も始めました。生産しないということは間違いなくいちばん環境負荷が低い。

常に考えているのは、そのコミュニティをいかに膨らませるか。僕らが考えていること、実行していることがコミュニティから歓迎されないとダメなんです。

川添(V) 継続的に新しいモノを売る、というビジネスからの脱却の始まりですね。濃密なアイデンティティに触れたときに、一緒にいたいと思ってもらえるかが存在意義で、それこそが色んなものをそぎ落として残るものなんでしょうね。単にブランドから買うというよりは、ブランドに投票してもらっているイメージでしょうか。

木村(A) それにコミュニティのコミットが強ければ、支払いがずっと続くと思っているので、1,000円や2,000円くらいで僕らの製品を持って帰ってもらえるようにしたいんです。そう思って、新しいプロジェクトをスタートさせることにしました。

川添(V) 具体的に、プロジェクトの概要を教えてもらえますか?また、支払いがずっと続くとはどういうことでしょうか。

木村(A) 今回募集するのは、オールユアーズの看板商品である「HIGH KICK JEANS OW」です。ゆくゆくは、12回の支払いが終わった後に新しい商品を選べるサービスにしていけたらと思いますが、今回は12ヵ月のみ、ファンクラブ限定での運用を考えています。

支払いについては、スマートフォンと同じです。1,800円×12回の合計21,600円を支払う形で購入してもらい、12ヵ月ずっと付き合っていくという形にしました。その代わり、Appleサポートのような付加価値をつける。今回は、2年間の修理保証のサポートをつけています。

売って終わりではなく、破けたら直すとか、フィット感が気に入らなかったら修正する、といったサポートを常に行う。売り買いではなく、ずっとユーザーと関わっている状態を作っていきたいですね。

川添(V) その取り組みはとてもよいと思います。当社でも眼鏡の保証サービスで、毎月数百円の支払いでつながり続けているモデルがあります。これまでの小売りは売って終わりでしたが、長く付き合い続けるということに、ビジネスの価値も移っていくと感じています。


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