販促の課題?それとも製品の課題?
こうして、顧客に製品訴求と啓発育成を行うことで事業成長を目指していくわけですが、その売れ行きを表現力と製品力の2軸でわけると、以下の4つのパターンに分類できます。下記の図を見ていただくと、右上のロングヒットを目指して事業展開をしていくケースが多いのですが、課題となるのは左上か右下です。(ちなみに左下の場合には、そもそも出直しが必要だと思います)
右下の場合は「製品の良さを伝えるのが難しい」というケースです。これは販促課題なので、広告表現やCRMフローの改善で対応していくわけであり、コミュニケーションの問題です。
やっかいなのは左上の「広告の事前期待に製品が応えられていない」ケースです。この場合、広告表現や販促でどうにかするものではありません。これは、製品課題であり、製品企画・開発のフェーズで解決すべきケースです。しかし、それでも広告・販促などのコミュニケーションで何とか対処しようとしている場合もあります。
たとえばこんなケースがありました。とある大手企業の健康志向の食品だったのですが、ビジネスを始めた当初は調子が良かったものの、その後状況が悪化し、リピートに大きな課題を抱えていました。
事情をつぶさにヒアリングしてみると、その製品は当初、ECでの直販を利用して購入するのがいちばんリーズナブルでした。しかし、その後取り扱い事業者も増加し、セールの目玉として直販価格を下回って販売するケースなども多発していました。価格条件を含めると、相対的に製品力が落ちており、左上の「製品課題」を抱える状況にシフトしていたのです。(それでも当時の広告系支援パートナー企業は、新たな広告展開やクリエイティブ開発での対処を提案していたようです)
とはいえ、大手企業の製品開発ともなると、数年単位の時間がかかります。また、直販事業部のための独自製品開発はなかなか優先順位も上がらないので、進行への同意を得ることすらも難しい。これでは、解決策が整う前に事業部の存続が危ぶまれる状況でした。
そこでこのケースでは、自社だけで何とかしようとせずに、こだわりの他社製品とのセットアップにより自社製品の魅力を補完することで、解決を図りました。製品企画とマーケティングリサーチを代行し、開発仕入れ先をコーディネートしたのです。こうすれば、数か月程度の準備期間で、改善策の実行が可能となります。
製品課題であるのならば、製品で解決する。もし皆さんがこのケースに類する課題を抱えているのならば、億劫にならず、ぜひとも取り組んでみることをおすすめします。