1to1コマースに取り組まなければ、顧客が離れていく時代に
ふたつめのキーワード「パーソナライズ」の重要性についても、裏付けとなるさまざまな調査結果がある。たとえば、「パーソナライズなコミュニケーションが提供されない場合、ブランドの変更を検討する」という質問に対しては、52%が「はい」と答えているそうだ。
また、Commerce Cloud Einstein(※後述)を利用している150以上のサイトを対象とする統計データを分析して得られた、パーソナライズの有効性に関する知見もある。
そのひとつが、「サイト検索との組み合わせが最も効果的」であることだ。検索を使用してさらにレコメンデーションをクリックする顧客は、検索のみ利用する顧客の3.7倍、レコメンデーションのみをクリックする顧客の2.1倍の頻度で購入するという。
「『パーソナライズはサイト滞在時間に直結する』ということもわかりました。レコメンデーションをクリックする顧客はクリックしない顧客と比べてサイト平均滞在時間が約4.5倍長く、1回の訪問あたりに見る商品数も5倍近い。それだけ購入する確率も高くなるということです」(増田氏)
なお、サイトの再訪率も約2倍になるという。
パーソナライズを支えるAIを標準機能で提供「Commerce Cloud Einstein」
Salesforce Commerce Cloudでは、パーソナライズなどを支援するAI「Commerce Cloud Einstein」を標準機能として提供。すでに実装されている機能としては、商品をレコメンデーションし、顧客のパーソナライズを行う「Product Recommendation」、商品の並び順をパーソナライズして自動的に並び替える「Predictive Sort」、運用者側に向けて商品の関連性などを可視化する「Commerce Insight」がある。
増田氏は、ふたりの女性が同じサイトに初めて訪問して商品を選んでいくというCommerce Cloud Einsteinのデモ動画を紹介。途中で同じ商品を選んだ際にもそれぞれに提供される商品レコメンデーションや商品の並び順は異なっており、注文履歴や属性情報のない状態の初回訪問から数回程度のクリック操作でも、AIがリアルタイムで学習し、パーソナライズしている様子が見てとれた。
「今後のバージョンアップで、検索辞書のチューニング自動化や提案型検索のパーソナライズの機能なども順次追加される予定です」(増田氏)