アクションを自動化でき、シナリオ設計に注力させてくれるのがMA
――マーケティングオートメーションは数多くあり、EC事業者はどれを選んでよいか悩んでいます。マーケティングオートメーションにおいて、もっとも重要視すべき機能はなんでしょうか。
今井(ブレインパッド) 弊社がマーケティングオートメーション(以下、MA)の活用においてもっとも大事だと考えているのが、シナリオ設計です。MAには「オートメーション」という言葉が入っていますが、シナリオ設計の部分は自動化されません。事前に人間が作成したシナリオに基づき、起こすアクションを自動化するのがMAです。シナリオがよりよいものであれば、誰に(適切な対象者)、いつ(適切なタイミング)、何を(適切な商品)、どのように(適切なチャネル)を組み合わせた最適なコミュニケーションが可能です。顧客とのコミュニケーションを自動化することで、マーケティングにおける重要な活動である、シナリオ設計に注力させてくれるのがMAというサービスであると考えています。
シナリオの考え方としては、顧客の行動における「購買」という最終ゴールに至るまでの各フェーズで適切な施策を考えるということです。カスタマージャーニーと言われますが、ECサイトであれば、お客様がサービスを認識し、ウェブサイトを何度か訪問し、カートに入れて、商品を購入する……というそれぞれのフェーズにおいて、達成したい目標を設定し、その目標を実現できる施策を考えるのが王道ではないでしょうか。これが決まってから、MAなどのツールにどうシナリオを実装するかを考えていくという順番です。
弊社のMA「Probance(以下プロバンス)」では、たとえば単発の施策「ワンショット」、日次、月次など周期的な施策「レギュラー」、顧客の行動に起因して発動する施策「トリガー」、新着や値下げ商品などマスタ側の項目変化に起因して発動する施策「アラート」などさまざまなシナリオタイプを用意しております。これらを利用することで、シナリオの自動化が可能になっています。
伴野(ブレインパッド) プロバンスはPDCAにおける、DoとCheckの部分、つまりシナリオの実行とその成果レポートの構築までを自動化できる機能が揃っていて、使いやすいと自負しています。MILLEPORTE様のケースでは、ビアンカさんからご要望をうかがい、どうやったら我々がサポートできるかをご提案し、シナリオを追加・変更していく、というやり方で進めています。
ビアンカ(MILLEPORTE) 今井さんがおっしゃったとおり、MAの「オートメーション」という言葉に目が行きがちですが、ツールでは良い/悪いの判断はできず、人間が決めないといけません。ですから、シナリオが重要なのです。カスタマーサポートでも「こういうケースはこう対応しましょう」というシナリオを作りますよね?MAは、そのシナリオをツールに入れると、アクションは自動で行ってくれるというもので、シナリオがなければ動いてくれないのです。
私のシナリオの作り方は、お客様がある行動をとったときに、どんなマインドセットなのかを想像して最初のシナリオを考えるというものです。重要なのは、あくまでそのシナリオは想像でしかないこと。結果を見て、シナリオを少しずつ変えていきます。この改善が重要なので、MAツール選びの重要なポイントは柔軟性だと考えています。それぞれの会社ごとに、ビジネスの特徴はさまざまです。選んだMAが、自社のビジネスに合わせて変えていけるものでないと、長くは使い続けられません。
もうひとつ重要なのは透明性です。データ分析に不慣れな人にはシンプルなツールが好まれますが、シンプルにすると見えない部分が出てくるのです。プロバンスは、シンプルな画面もありながら、すべてのデータへアクセス可能なのが便利です。何が要因となっているか、どんなアクションの選択肢が考えられるかなど、プロバンスから取得できる一貫したデータにより、シナリオをより良くすることに貢献してくれます。