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季刊ECzine vol.04 特集「2018年こそ! 本気の『LTV』 顧客体験から選び直す ECの仕組み」

Amazonに学ぶチャネルシフト
オンとオフの融合で 次につながる楽しい買い物体験へ


 エンゲージメントコマース、顧客時間など、本当の意味でのLTVを訴えてきた奥谷さん。21世紀後半に向け、小売業のあるべき姿を聞いた。※本記事は、2018年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.04』に掲載したものです。

 2月22日に、書籍『世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』(日経BP社)を上梓した奥谷さん。コピーに「Amazonはなぜリアル店舗を展開するのか」と入っているように、顧客体験やLTVを考えるのに、今は「Amazonについて勉強する必要がある」そうだ。

 アメリカでは、日本以上に小売業をはじめとする企業が、Amazonの影響で苦しい戦いを強いられている。そんな状況下であっても、チャネルシフトにより、新たな顧客体験を生み出している先進事例も出てきている。今回は、奥谷さんにそれらを解説してもらうことで、読者の方に21世紀の小売業のヒントを提示できればと思う。

オイシックスドット大地株式会社 執行役員 統合マーケティング部 部長 Chief Omni-Channel Officer 奥谷孝司さん
オイシックスドット大地株式会社 執行役員 統合マーケティング部 部長 Chief Omni-Channel Officer 奥谷孝司さん

進む、オンライン企業のチャネルシフト Amazonが実店舗を展開する意味とは

 「オムニチャネルがある程度当たり前になってきた今、もっと戦略的にオンとオフを考えていくべきです。Amazonはオンラインで醸成したつながりを活かして、オフラインの顧客を奪ってきている。実店舗をやろうとしているのも、それ単体で儲けようとしているわけではなく、オンとオフを組み合わせたチャネルを作ることで、顧客のデータを取得する。取得したデータを活用して、マーケティングの4Pであるプロダクト、プライス、プロモーションを回していくために、プレイス、つまりチャネルをうまく使っている。これがAmazonの戦い方なのですが、日本企業はあまり気づいていないのではないか。実店舗はすでにあるから、ECを作り、アプリでつないだ。それで終わりではない。本当の戦いはもっと先にあるんです」と奥谷さんは警鐘を鳴らす。

 実際、米国のAmazonは乾電池をはじめとしたプライベートブランドを開発、販売している。小売のプラットフォーマーが自ら商品開発を行うことは、いずれ価格破壊が起きることも示唆している。

 「ただ『売る』という発想だけでカスタマージャーニーを描いていては負けるでしょう。顧客とつながるという発想にならなくてはいけない」

 では、カスタマージャーニーの重要性を再確認しよう。ユーザーはオンとオフを行き来するので、検討、購入、使用、消費の各ステップにおいて、オン・オフ両方でつながることができる環境を作ることが重要だと言う。それはかならずしも、「ストア」である必要はなく、たとえば予約アプリといったものも立派な「チャネル」である。

 この各ステップを総称して、昨今はカスタマージャーニーという言葉で表現されているが、奥谷さんは以前から、「顧客時間」と名付け、その重要性を訴えてきた。

 この前提を踏まえたうえで、奥谷さんが述べるチャネルシフトについて考えてほしい。でないと、たとえば実店舗でビジネスを展開してきた企業にとっては、ECとアプリを作ればオムニチャネル化は完了したと思ってしまい、Amazonが実店舗を展開する、オムニチャネルの次にあるチャネルシフト戦略の本来の目的がわからなくなってしまうからだ。

 「Amazonは小売の9割はオフラインであることを知っていて、オフラインに進出してきています。オフライン企業は、オムニチャネルを推進しているとはいえ『まだ小売の9割はオフラインだから』と、どこかで油断している。しかしAmazonのユーザーを見ると、『検討』『購入』チャネルともにオンラインで行っていますから、Amazonは両方のデータを持っている。Amazonのほうが、顧客のことをよく知っているわけです」

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