データ分析の最後のフロンティア、実店舗に挑む!3人に訊く
小売業の実店舗は「データ分析の最後のフロンティア」と言われています。これから拡大していくであろう店舗分析について、すでに3社でプロジェクトに取り組んでいる御三方にお話をうかがいました。
座談会参加メンバー(写真左から順に紹介)
そもそも、ECの売上は全体の10%ぐらいしかないという事実
森野(運営堂) 店舗分析ツールが普及し始めている実感があり、個人的にはかなり気になっています。ツールの細かい機能の前に、そもそもの店舗分析の必要性についてお聞かせいただけますか?
安藤(Ptmind) マクロなトレンドの話をしますね。当社も「Ptengine」という解析ツールの事業から始めていますが、解析結果を広く見ると、ECは10%程度で、実店舗の売上が圧倒的に多くなっています。この比率からしても、リアルビジネスを改善したほうが事業のインパクトとしては大きいわけです。
IoTが広まり、店舗内の計測ができるようになると、ウェブの強みだった「解析」が、現実世界でも活きるようになるだろうと考え、取り組みを始めました。具体的には、カメラを設置し、ウェブ解析でいうところのランディングページにあたる「店の入り口」から何人入ってきたかといったことを計測して、POSデータにつなぐ、といったことをします。「売上に貢献したユーザーはどれくらいいたか」といったことが解析でき、ウェブでやってきたことがリアルビジネスにも活かせるようになるわけです。
まずは1、2店舗の旗艦店で成功事例を作り、そのノウハウを他の店舗に活かしていくといった広げかたが有効だと思います。ECと実店舗、両方をお持ちの事業者さんであれば、まず間違いなく興味があるかなと。
森野(運営堂) なるほど。企業からすると、売上が10%程度の分野を10%伸ばすよりも、90%の分野を数%でも伸ばしたほうがよいと考えますよね。どうして今まで、ウェブばかり改善しようとしていたんだろうと思えるほど、シンプルな事実です。
渋谷(ナンバー) 自分もオンラインの領域でアクセス解析をやっていました。全体に占める売上が1割程度の分野の改善に、ずっと取り組んでいたわけです。しかし、技術も進化しているし、「オンラインもオフラインも分析できるカスタマージャーニー」のような目線で改善に取り組めないかと考えるようになりました。そこに、GRoooVE・田村さんが扱っている店舗分析ツール「RetailNext」の情報が入ってきたんです。
実際、クライアントの実店舗に現地調査に行ってみると、「POSデータと一緒に見たい」「天候データをみたい」といったように、さまざまなデータとの相関関係を見て分析するのが大事だということがわかりました。
そうなると、複数のデータをつなげることができるBIツールが必要だということになり、すぐにPtmind・安藤さんに連絡し、データ統合ダッシュボードサービス「DataDeck」のことをお聞きしました。すると、Google アナリティクスなどのウェブデータも、店舗分析ツールのデータもつなげられるとのことでしたので、3社で一緒に取り組めないかとそれぞれに提案、ご賛同いただき、3社での打ち合わせが実現しました。
ナンバー・渋谷さん | 全体の計測設計 |
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GRoooVE・田村さん | カメラの設置 |
Ptmind・安藤さん | データをひとつのプラットフォームに集約 |
すでに、映画館などで導入していただいていますが、3社の役割は親和性があって、状況次第でいかようにでも対応できるチームだなと感じています。ウェブであればひとりでできるのですが、オフラインまで広がるとそうはいかず、チームでやるしかないです。
森野(運営堂) 確かにリアルとなると、いろんな要素が絡んできますよね。そして、それを一元管理したくなるのもわかります。