データフィードを活用してトライしたい、EC事業者向け広告
データフィードを活用することで、たとえばディスプレイ広告では「閲覧商品やレコメンド商品をバナーに表示させ」たり、「価格.com」や「Become」など業界特化メディアに広告を配信したり、Googleに代表される「商品リスト広告」にも対応が可能となる。
商品リスト広告とは、検索ワードやショッピングサイトに自社商品を表示させるものだが、Googleも今後、広告商品として力を入れていくと発表しており、米国では全予算の半分以上を投下する企業も出てきているとのこと。「日本のEC企業も、データフィード最適化ツールを活用し、積極的に商品リスト広告を活用していくべき」と井上さん。
さらに、マイクロアドとしてプッシュするのが、2015年7月にリリースした「DynamicAT」だ。これまでの広告配信実績やカルチュア・コンビニエンス・クラブ(Tポイント)、大手カード会社等との提携から、膨大なユーザーデータを蓄積している同社。それをもとに、ユーザーの趣味嗜好に合わせて、商品リストを自動生成することが可能になった。
「これまでも、売上ランキングやオススメ商品をバナーに表示させるといった取り組みはされていますが、DynamicATは、ユーザーごとに表示する商品を出し分けます。たとえば、似たような行動をとっているユーザーに対しては、同じレコメンドリストが通用するかもしれないという想定を立てて、バナーを表示するといったことに取り組んでいます」
ゆくゆくは、複数の事業者の商品をひとつのデータベースで管理し、ユーザーの「行動」を軸に、将来、何を必要とするか、どう行動するかを予測して広告を表示する「ショッピングバナー」も開発中だと言う。これも、データフィードを用いるからこそ見えてくる将来像なのだ。
ユーザーを三段階に分け、異なるフィード広告でアプローチする
データフィードを活用することで、トレンドの広告商品の効率的な活用が可能になるだけではない。そのサイトを訪れる、ユーザーの階層ごとに適切なアプローチができるようになる。
「ごくシンプルにユーザーの階層を分けると、そのサイトで購入したことがあり、ファンになってくれている『来訪者ユーザー』、実際の購入はまだしていない『購入検討ユーザー』、そしてまだサイトに訪れてはいないけれど、趣味嗜好から興味は持ってくれそうな『未来訪、興味有りユーザー』の三段階となります。下に行くほど、数は増えますが、購入見込みは低くなるピラミッドです」
それぞれの階層ごと、有効なフィード広告は異なると井上さんは言う。
「『来訪ユーザー』に関してはリタゲです。これはEC事業者様なら、よくおわかりいただけると思います。『購入検討ユーザー』は商品リスト広告です。購入意欲が高いため、検索するでしょうから、リスティング同様に適切なキーワードで誘導します。そして、『未来訪、興味有りユーザー』には、先ほどご紹介した『DynamicAT』です。多くのEC事業者様が、ここへのアプローチに頭を悩ませていらっしゃいますが、データをもとに類似ユーザーと似た行動をとるであろうと予測し、適した商品を表示することで、検索以前の、『未来訪、興味有りユーザー』を獲得していけると考えています」
最後に井上さんは、「データフィードの取り扱い幅は、今後ますます広くなっていくでしょう。これまで見てきたとおり、EC事業者様は、データフィードを最適化し、効率的な広告配信を行うべきです。そして今後は、商品データフィードとユーザーデータを掛け合わせることで、可能性が広がっていくと考えています」と述べ、講演を締めくくった。