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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECホットトピックス

配送、接客、越境ECなど モール部門賞連続受賞!腕時計のななぷれさんに中小ECの今後を訊く


楽天市場、Yahoo!ショッピングなどで、「腕時計部門」の年間ショップ賞を受賞し続ける「腕時計のななぷれ」。大手企業が幅を利かせる中で、中小のショップが輝き続けるためには。ななぷれ代表・國分英一さんにお話をうかがった。

モール部門賞を取り続ける理由とは?ななぷれ・國分さんに訊く

――あらためて、ネットショップ「腕時計のななぷれ」を始めた経緯を教えてください。

最初は飲食店の経営をしていて、次の転職先がたまたまネット通販の企業でした。ネット通販企業に入ったのは、2004年あたりの、ちょうどインターネットが急速に伸びていた時期だったので、ビジネスチャンスがありそうだと考えたからです。

そこで驚いたのは、ネット通販はやろうと思えば自分でいくらでも効率化できて、何か取り組みをすれば明日にでも成果が出ることでした。飲食店は、味を変えても、看板を変えても、それが効果につながるまで、一定の時間がかかりましたから。それから土日休めるのと、お客様とのやりとりがとてもおもしろいと感じて、自分でやってみようと思ったのがきっかけです。

腕時計を選んだのはたまたまで、勤めていたネット通販の会社で、腕時計を担当していたからです。当初は雑貨屋さんをやりたくて、腕時計のほかに、カバンや自転車を売っていました。でも、腕時計と接する時間が長くなるうちに、自分自身が腕時計の方向に向かっている気がして、ある日を境に、他のものを取り扱うのはやめました。2008年に会社を作って、腕時計専門にしたのが、2010年くらいですかね。そこから時計専門店になり、「腕時計をやりたい」に気持ちも変わりました。

――有名ブランド含め、商品ラインナップが充実していますが、仕入れはどのようにされているんでしょうか。

1社だけ、どうしてもお取引したかったメーカーさんには営業をかけましたが、ほかはすべて、卸会社さんからお話をいただいて、検討していった流れです。商品詳細ページのクオリティを上げる努力を続けていたら、先方から案内に来てくださるものなんですね。皆さん、そういうところを見ていらっしゃるんだと思います。

というのも、そのメーカーさんとお話ししたところ、ネット通販に対して、あまりよくない印象をお持ちだったんです。メーカーの商品写真に、値段だけつけたようなページで、安く売っていると。その時に、「ななぷれは、商品ページをきっちり作り込んで、気持ちを込めて売ります」と頭を下げました。振り返ってみると、そのメーカーさんとお仕事をさせていただきたくて出てきた言葉だったんですが、それでななぷれの方向性が決まったんですよ。そうしたらメーカーさんも「それならやってみよう」と言ってくださって、お取引できるようになりました。

僕たちは、お客様とメーカーさんの間をつなぐ会社です。メーカーさんが作られたものを雑な商品ページで安売りするのもメーカーさんに対して失礼だし、それではお客様にも良さが伝わらないので、結果として買っていただけません。だから、徹底してクオリティの高い写真を撮って、製品の魅力を伝える商品ページを作るんです。お客様に対してはもちろんですが、仕入先、メーカーさんへのアピールでもあるんですよね。

うちの規模の会社で、これだけのメーカーさん、卸さんと取引ができているのは奇跡だと思います。今からやろうと思っても、無理かもしれません。

――スタートが2008年というタイミングもありますか? 早すぎず、遅すぎずなのでは。

ネットショップとしては後発組になると思いますが、今考えると非常にいい時期でした。それ以前は、次々と出てくる新しいことをつぎはぎして、ページの統一感にはかけていましたよね。2008年あたりになってくると、他社さんのページを勉強させてもらって、「こういうページが良さそうだ」という判断ができるようになり、統一感のあるページを、ゼロから作ることができましたから。ちょうど「レビュー」が注目されたりと、お客様に対する目線が重要な時期にさしかかっていたのもよかったと思います。

http://shopping.geocities.jp/nanaple/index.html

――複数のショッピングモールに出店されていますね。

最初はYahoo!ショッピングからで、それは僕が、前に勤めていた会社でYahoo!ショッピングを担当していて、やりかたを知っていたからです。始めた当初はあまり売れませんから、時間があったので、楽天市場の勉強をしました。現在はほかに、DeNAショッピングとポンパレモールにも出店しています。

Amazonに出品しないのは、商品写真、ページにこだわるという、ななぷれのやりかたに合わないからです。興味はあるのですが、「ななぷれで買った」という印象を持っていただきにくいのかなと考えています。独自ドメインをやらないのは、モールのほうが簡単だし、SEOなど費用対効果を考えると同じだと考えているからです。加えて、取り組もうと思った矢先に、偽サイトが乱発して、見分けがつかなくなりそうだったから。今のところ、僕らがやりたいことは、モールでも実現できています。

――事業が軌道に乗った、ターニングポイントはありますか?

コツコツやり続けてきた、というのが一番ですね。目先の利益のために安売りばかりするんじゃなくて、当初の方針どおり、きっちりとした商品ページを作るというのをやり続けました。それによって、土台がしっかりしたんでしょうね。強いて言えば、Yahoo!ショッピングの「おすすめセレクション」に、たまたま掲載されたこと。そこに載ると、Yahoo!のトップページにも掲載されるので、そこで一気に跳ね上がった経験はあります。

――モールさんが優秀なショップを評価する賞は、最近大手企業さんが多いように見受けられます。そんななか、御社が「腕時計部門」で受賞し続けられる理由はなんでしょう。

専門性を高め、人間のあたたかみのを込めた売りかたをしているからだと思います。大手さんはどうしても、効率化の方向に向かわれると思うので、うちのようなやりかたはできないはずです。中小企業が大手に勝つには、そこですよね。

――今後の展望を教えてください。

難しいですよね。サービスも含め、やり尽くしている感があります。たとえば、「3年保証」を始めたことで、当時は一瞬シェアを上げたのですが、半年後にはどのショップも同じサービスを提供するようになって、それがスタンダートになりました。次のサービスを始めたくても、「サービス=コスト」でもありますし、究極は過剰サービス、薄利多売になって、サービスそのものができなくなってくる。配送スピードも努力していますが、スピードだけでいいのかとも思いますし。

そうしたなかで、方向性としては「安心して買える」を目指しています。たとえば、2014年9月から実店舗を作りました。やっぱり、実際にお店があるとわかると、足を運ばないにしても安心感があるじゃないですか。加えて、そこで地元に密着した商売ができたら、また違う可能性も出てくるかもしれませんし。

4月からは、グローバル展開も始めています。月200万円程度の売上なので、売れているかというと難しいのですが、他のショップさんのページと見比べても、ななぷれのページはきちんと作り込んでいるなと感じるので、それくらいの市場だととらえています。

越境ECで難しいのは、ライセンス問題です。とくにブランド品は「この国に出すのはNG」といった規制がありますし、そういったルールがないものはなかなかニーズがないんですよね。年内には、うちから売上を上げていけるような、そんな施策を実行したいと考えています。

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/2277 2015/10/26 10:13

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