アメリカに現地法人を作り、本気で越境EC Hameeの挑戦
――副社長の小俣さん自ら、グローバル事業部の事業部長となり、アメリカに常駐していらっしゃるとのこと。「Hameeストラップヤ」の越境ECはそこから始まったのですか?
いえ、グローバル事業部ができたのは2年ほど前ですが、越境ECには10年以上前から取り組んでいました。とはいえ、英語の自社ECサイトと、韓国と中国のショッピングモールに出店して、特別力も入れず、でも止めもせずという具合。僕がアメリカに行くことになったのは、「越境ECを本気でやるぞ」という、代表の意思表示だと思います。
越境ECへの取り組みが早かったのは、当社の代表の血縁に、たまたま英語ができる人間がいたからです。以前は、Amazon.comに出品するためにわざわざハワイに銀行口座を作りに行くなど、越境ECのハードルがすごく高かったので、その偶然がなければ始めていなかったかもしれません。サイトの翻訳も社内で行い、注文が入ったらEMS等で個別に発送するなど、細々と続けていました。
しかし今回は、アメリカに現地法人「Hamee US」を作り、私とエンジニア、EC運営担当者が常駐し、倉庫を構えて、Amazon.comはもちろん、カナダやヨーロッパなどでも展開しています。
――もちろん、英語はお得意なんですよね。
まったくできません(笑)。現地に入ってから、英会話学校に通わせてもらったりしましたが、ちょっと勉強したくらいで、ビジネスで使えるようになるものじゃないでしょう。それでも何とかなるものです。結局のところ、商品がお客様に届き、代金を回収するためのコミュニケーションがとれればいいわけですから。日本のEC運営で蓄積した「よくあるお問い合わせ」には、あらかじめ回答テンプレートを作るなど、準備もしています。
――日本とUS、ECを運営するうえで違いはありますか?
日本は配送含め、とにかく「細やか」ですが、海外ではもっとアバウトです。わかりやすく言えば、日本では段ボールの箱に入れて丁寧に梱包するけれど、アメリカでは配送料をできるだけ安くするために、緩衝材でくるっと巻いて送るだけで済んでしまったりする。それを玄関先にぽんと投げておくだけなので、モノはなくなりやすいですけどね。
日本と比較してアバウトなのは、Amazon.comには、アメリカのショップだけでなく、日本や中国など、他の国からも出品しているから。配送日も違えば、カスタマーサポートもそれぞれ、荷物が届くのに時間がかかって当たり前、早く欲しければその分の料金を払ってくれます。そのあたりは、送料無料で即日配送が浸透しつつある日本よりは、ラクかもしれない。
一方で、アメリカは返品が多いです。有名なザッポスはじめ、リアルの有名店舗でも対応しますから、そういう文化なんでしょう。開封してあっても「壊れていたから」など理由をつけて、なんとしても返品してきます(笑)。
――Amazonやebay、そして自社ECサイトを運営しているとのことですが、越境ECではどこがいちばん売れますか?
やっぱりAmazonは集客力、売る力が強いですが、「1商品・1ページ」の競争は日本と変わらず厳しい。そこで戦うには、自社オリジナルの強い商品が必要になります。当社がそういう商品を作り続けられたら、Amazon.comでもやっていけるでしょう。最近は、スクイーズという、くにゃっとしたやわらかい素材の商品が人気ですね。理由は、よくわからないけど。
集客は日本でのノウハウを活かして、キーワード広告を中心にやっていますが、日本の良い商品をしっかりアピールできれば、無理な宣伝をしなくても売れる、という手応えは感じています。自社ECサイトでは、モール以上のパワーが必要になりますけど、出店料は広告費のようなものですから。
さまざまなモールに出店するのは、どこが売れるのか、このモールならどういったお客様がいて、どんな商品が売れるのかといったことをテストしているからです。そのためのコストがそれほどかからないのが、ECのいいところですよね。
――越境ECでも、自社ECサイトは必要でしょうか?
必要です。細々とながら10年以上続けてきましたから、海外でも長年、何十回と自社ECサイトから買ってくださるお客様がいるんですね。お客様も売れるモノも、サイトによって違いますから。