紙のDNAを活かす「3つの強み」:伝わる動画のフォーマット化
━━紙媒体のデザイナーが動画を作る際、強みとなった部分はありますか。
新井 アドビ製品のインターフェースに馴染みがあったため、ツールの操作自体には比較的スムーズに対応できました。それ以上に大きかったのは、「商品の強みを逆算して構成を考える」という紙媒体特有の思考プロセスです。

━━具体的にはどのような工夫をされているのでしょうか。
新井 動画を作る際、その商品の「アピールポイントを3つ」に絞り込むことをルール化しました。これは他社事例を研究する中で見出した手法ですが、情報を詰め込みすぎず、短い時間でコンパクトに強みを伝えるという点は、チラシやDMの制作ノウハウと非常に親和性が高かったのです。
━━制作の初期段階は苦労しませんでしたか。
新井 「撮影」のノウハウが全くなかったことですね。最初はカタログ用の静止画を繋ぎ合わせたスライドショーのような動画から始めましたが、やはりそれだけでは不十分です。社内の会議スペースや執務スペースを自分たちでロケハンし、即席のスタジオに見立てて撮影を繰り返すなど、試行錯誤の連続でした。
現在は、テロップの書体や配置などのデザインフォーマットを固定化し、検証会を通じてブラッシュアップを重ねることで、一定のクオリティを維持できる体制を整えています。
コスト削減額が30%増加:動画制作本数と成果の相関
━━内製化後の制作本数や、定量的な成果について教えてください。
新井 制作本数は着実に伸びており、2023年度の130本から、2024年度は155本、2025年度は175本を見込んでいます。注目すべきはコスト削減額です。2025年度の制作本数の増加率は前年比プラス13%程度ですが、コスト削減額は30%も増加しました。
━━本数の増加以上にコスト削減が進んだのはなぜでしょうか。
新井 自分たちで撮影まで完結できるようになったからです。また、これまでは短い紹介動画がメインでしたが、現在は尺の長いマニュアル動画や採用動画なども手がけるようになり、1本あたりの外注代替価値が高まったことも要因です。
━━肝心のECサイト上での反応はいかがですか。
新井 以前、動画を掲載していなかった時期と比較すると、プラスの成果が出ていると感じます。動画をクリックしてそのまま購入に至るお客様も一定数いらっしゃいますし、動画があることでCVR(転換率)にも良い影響を与えていると実感しています。
特に、使い方がイメージしにくい家具や家電、構造が複雑な商品については、動画を単独のページとして切り出したり、検索ワードに「動画付き」を入れたりすることで、お客様への到達率を高める工夫も行っています。
