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直近のShopify Editionsから“AIが主役となるコマース”を考える
MMOL Holdings 代表の河野です。新年初回の連載は、2025年末に発表されたShopify Editionsに触れながら「AIエージェント時代の職種再編」についてお伝えしたいと思います。
本題に入る前に、ECzine読者の方であればお馴染みかもしれませんが、改めてShopify Editionsについてご紹介します。
Shopify Editionsとは、Shopifyが半期に一度(年に2回)最新機能やアップデートをまとめて発表する場として開催しているイベントです。直近は2025年12月10日(現地時間)に開催されましたが、今回のWinter '26 Editionは、これまで以上に「AIがコマースの主役級になる流れ」について、かなり強い言葉と実装で押し切ってきた回だったと感じています。
なお、Shopifyが今回掲げたテーマは「RenAIssance」。「AIが人の創造性を増幅させる」というニュアンスです。150以上の機能アップデートが発表されました。
ここからが最も重要なのですが、Winter '26 EditionのAIは「作業を手伝うツール」からさらに先の段階まで進化しています。事業者の右腕として先回りし、提案し、時には実行まで進めてくれる。そういった方向に舵が切られています。
これにより、ECの世界は「人が画面を操作する」から「AIエージェントが買い物を進める」といった未来像に向け、スライドし始めています。これからのECは、AIとの融合が“あると便利”から“前提”へと変わっていく。こうした空気が、Winter '26 Editionには詰まっていました。
AI推進、興味があるなら押さえたいWinter '26 Edition主要トピック4選
ここからは、Winter '26 Editionの中で特にAI推進の背中を押すだろうとされるアップデート内容を見ていきましょう。大きく4つのトピックに分けてみました。
Sidekickの進化
マーチャントの日常業務の負担を軽減するコマースアシスタントとして、既に世に出ていた「Sidekick」。既存のSidekickはあくまで受け身のチャットでしたが、先回りしてマーチャントに示唆を与える「Sidekick Pulse」と呼ばれる機能が新たに追加されました。
このほかにも、会話からカスタムアプリを作ったり、テーマ編集を自然言語で進められたり、プロンプトを「Skills」として保存・共有できたりと、運用の中心に寄った機能が発表されています。
会話の中で商品が売れる世界
「Shopify Agentic Storefronts」と呼ばれる機能では、ChatGPTやMicrosoft Copilot、PerplexityなどといったAIとの会話内に商品を表示し、会話から離れることなく商品購入まで進められる世界を生み出しています。
なお、情報の表示先はあくまでマーチャント側が制御でき、成果のデータも管理画面へ反映される、と説明されています。
開発者向けのMCP対応
さらに、開発者に向けてはMCP(Model Context Protocol)を使って、AIアシスタントをShopifyのリアルタイムなコマースデータにつなぐための「Storefront MCP」が用意されています。Storefront MCPについては、連載の第4回や第5回でも触れているので、詳しく知りたい方は併せて読んでみてください。
意思決定の仕組みも変わる
ここまで紹介したアップデート内容から、「AIが質問に答える」だけでなく「検索して、提案して、カートに入れて、買う」までの道具立てが整い始めたことがわかります。これに加え、意思決定の仕方そのものも変わりつつあります。
Winter '26 Editionで発表されたリサーチプレビューアプリの「SimGym」は、AIショッパーが顧客行動をシミュレート。テーマ比較やUX課題の発見、変更影響の確認を事前に行ってくれます。また、検証と最適化を日常業務に組み込める機能「Rollouts」も要注目です。
