顔出しなしでも数万円の手帳が売れるライブコマース アシュフォードの“愛され施策”とは
ECにおけるファンの定義の三つ目に挙げられた「コミュニティへの参加」。顧客に自然な形でファンダムへの参画を促しつつ、売上にもつなげられる施策として特に有効なのが、ソーシャルコマースだ。安原氏はInstagramライブおよび、フューチャーショップが提供する専用ライブコマースプラットフォーム「Live cottage」を活用して対話型販売とファンコミュニティ形成に取り組む株式会社アシュフォードの事例を紹介した。
「同社が展開するシステム手帳はカテゴリー特性上、昔から多くの熱狂的なファンが存在しています。その状況と同社が蓄積してきた専門知識を生かし、インタラクティブなコミュニケーションを行っているのがこの事例の大きな特徴です」
「ライブ配信=顔出し」のイメージが強いかもしれないが、同社は商品にクローズアップするためあえて顔出しをせず、声と手のみの出演で配信を展開している。「ファンだからこそこだわるポイント」を熟知したスタッフが、コメントに答えながら革の手触りやリングの開閉音、リフィルをめくる際の紙の質感といった五感に訴えかける情報を提供。開発秘話など「ここだけの話」も盛り込みながら丁寧な交流を図ることで、強いつながりと売上の創出につなげている。
「アシュフォード様の配信で特徴的なのは、コメントが『企業とお客様の質疑応答の場』ではなく、『ファンも含めた意見交換の場』になっている点です。
たとえば、配信中に購入検討者が『この製品が気になっている』とコメントをしたら、実際に商品を愛用しているファンが『この手帳は非常に使い勝手が良かった』『自分は今○年使っていますが、味が出てきて経年変化も楽しめますよ』といったリアルな感想を投稿してくれます。同社のシステム手帳は数万円と、ライブコマースで販売するには高価格帯の商品ですが、こういった“熱量ある推奨”が新規顧客の後押しとなり、購入につながっているのです。ファンコミュニティの作り方が非常に上手な事例として、ぜひ参考にしていただければと思います」
ブランドの未来を左右する「デジタルコマーススキル」はどうやって身につく?
安原氏は、東京デリカとアシュフォードの共通点として「デジタルコマーススキルの高さ」を挙げた。これは、フューチャーショップが支援する他の成功事例を見ても共通する項目で「ツールを導入する」だけではなく「使いこなす力」のことを指すそうだ。
「ECサイト運営で成果を出すには、サイトのUI/UX改善や施策実施、結果のデータ分析、改善計画の立案といった、地道なPDCAサイクルを日々回し続ける必要があります。ビジネスの成長スピードを加速させるため、ところどころ専門家からアドバイスをもらったり、外部委託したりといったケースもあると思いますが、丸投げしてしまうとデジタルコマーススキルは身につきません。一連のプロセスを社内で回す“自走体制”の確立こそが、今の組織に求められることだといえます。フューチャーショップでは、仕組みからこうした自走を支援しています」
たとえば、futureshopシリーズに導入されているレイアウトエンジン「commerce creator」は、ページの構成要素一つひとつを「パーツ」として扱い、ノーコード・ローコードでのサイト改善を実現している。この他にも、フロントオフィス・バックオフィス問わずEC運営に必要な機能を網羅(連携サービス含む)する拡張性の高さや、ワンクリックで分析を実現する「reports機能」の搭載、年間316回開催されるラーニング・プログラムなど、あらゆる角度からEC担当者が自ら組織やサイト運営をけん引できる仕組み作りに貢献。EC立ち上げ・リニューアルから運用フェーズの隅々まで支援する様子をアピールし、安原氏は最後にこう締めくくった。
「ラーニング・プログラムでは、P-MAXやTikTok活用など、トレンドも取り入れた知識習得の機会を提供しています。フューチャーショップでは、EC構築だけでなく周辺領域のサポートまで含めて有益なサービスを提供しておりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせいただけますと幸いです」
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