ミドルエイジのAI活用が企業の業績改善・飛躍の鍵に
藤原 僕は、AIを使うことに抵抗がある人たちに対して「AIはメガネやコンタクトレンズのようなものだよ」とお伝えしているんです。日常生活の不自由をなくしてくれるものだし、見える世界を広げてくれます。それぐらい、人々の生活に浸透すると良いなと思うのですが、師橋さんは支援先などにどう伝えていますか?
師橋 僕も感覚としては近しくて、たとえば居酒屋に行ったときにメニューの写真を撮って、「1時間でお腹いっぱいになれるコースを作って一人あたりの値段まで試算して」とChatGPTに頼めるぐらいAIと仲良くなれるかが鍵ですよ、みたいに伝えますね。
藤原 自分の子どもを見ていても、彼らのほうがAIを日常的に使っているので「いかに慣れるか」だと思うんです。企業でAI研修をやらせてもらう機会があったのですが、3ヵ月間毎週課題に対するプレゼンテーション資料をAIで作るように促すと、だんだんとAIファーストな姿勢が身についてきます。「ツールを導入しても普及率が上がらないんです」と悩むなら、一定の強制力をもたせてしまうのも手です。
師橋 今のミドルエイジがAIを業務に取り入れたら、各社の業績や業務効率はおおいに改善されると思うんですよ。なぜなら、これまでの経験があるからです。AIが出す答えの良し悪しや、ゴールをどこに定めたら良いか判断できる人がAIを使いこなせたら、これほど強いことはないです。
藤原 アウトプットの量が同じだと創出できる売上や利益の天井が見えてしまうので、事業を成長させたい、従業員にきちんと給与を支払いたいと考えるのなら、AIはもう必須ですね。
日本のポテンシャルは細部に宿る 魅力を生かして「海外でも勝てるEC」に
藤原 ここまでお話しさせてもらって、「伸びるECサイトや企業の共通点はあるのか」と改めて師橋さんに聞いてみたくなりました。実際のところ、いかがでしょうか?
師橋 端的にいうと、「コミュニケーション力」と「気づく力」があるかですかね。コミュニケーション力があると社内交渉も上手なので、権限移譲がなされていることが多いです。すると意思決定のスピードも速く、打ち手の数を増やせるのでおのずとEC売上も上がります。
また、こうした人は顧客へのアプローチもうまいので、「ECリニューアル直後は一時的に売上が落ちる」という定説をくつがえすケースが多いんですよ。買う意味をもたせる施策作りも上手です。やはり、ECでも売り場のポテンシャルを最大化するスーパー販売員の有無が成長を大きく左右するなと思います。
藤原 社内交渉力があると、「それは持ち帰って議論します」といったタイムラグがなくなるので、支援会社としてはありがたいですよね。確認事項があったとしても、読みの精度が高ければ予想外の展開になることは少ないですし。
師橋 こうした人は先読み力もあるので、ECリニューアルをするにしても「この機能を入れたらお客様はこう思うはず」「こういった体験はなくしたほうが良い」といった的確な予想をして、一つずつ要件に落とし込めます。
ECは、細部まで行き届いた体験を構築できるかが勝負です。メール1通送るにしても、タイミングが悪くお客様に不快に思われたら、離脱されてしまいますから。良い商品とこうした担当者の掛け算で、得られる成果は大きく変わると思いますね。
藤原 視野が広いから気づけるし、先読みもできるんでしょうね。端的にいうと「仕事のセンスが良い」ということかもしれませんが、こうした人材のポテンシャルを若いうちから引き出してあげるのが上司の仕事だとも思います。ここで「年功序列で」なんていったら、間違いなく辞めてしまうので。
師橋 そうですね。時代の変化が速いからこそ、イノベーションを起こしやすい雰囲気作りは組織においても重要だと思います。
あとは、日本のポテンシャルを信じてもっとみんな海外に出たほうが良いです。何から手をつけたら良いかわからないのなら、僕らも一緒に行くなり手伝います。日本人が思う以上に、日本のカルチャーは評価が高いです。実際にこの目で見れば、自信がつくと思います。
藤原 円安で苦しい局面も多いですが、逆にリユースはそれで伸ばしていますからね。商機は探せばいくらでもあるから、「これだ」と思う機会を見つけたら「来期の計画に入れよう」なんていわずに、すぐに上司や経営陣に直談判して一刻も早く動いたほうが良いです。
師橋 僕らも2022年にR6B Americaを立ち上げて、苦しい局面や辞めたほうが良いのかもと思う瞬間は正直何度もありました。でも、現地法人を立ち上げたからこそ対等な話ができるようになりましたし、日本企業の海外支援にもつながっています。実際に現地を知るのは、本当に大事です。
藤原 いろいろなお話しをありがとうございました。
対談を終えて(300Bridge 藤原氏より)
ShopifyやAIという強力な武器をどう使いこなすか。師橋氏との対談で改めて感じたのは、テクノロジーが進化しても、結局はそれを扱う「人」の意思と行動力が鍵だということです。
「海外展開」や「AI活用」に対してリスクを恐れて足踏みをするのではなく、まずは動いてみる。ツールに使われるのではなく、ツールを相棒にして自社の「らしさ」を世界へ届ける。そうした攻めの姿勢と、顧客への細やかな「気づき」を持つことこそが、将来に向けた成長の分岐点になるはずです。変化を恐れず、リーダーシップを発揮する人材が求められていると感じました。
