店頭との差別化を図る四つのスキーム 在庫リスク低減・テストマーケ実施も
しかし、近隣に店舗があり手軽に使える利便性が最大の長所でもあるコンビニエンスストアがECで売上を作るには、工夫も必要だ。ファミマオンラインでは、次の四つの商品ラインアップとビジネススキームを意識しているという。
- 高単価、大サイズ商品
- 地域限定(店頭)商品
- 抽選販売
- 受注生産
「店舗との差別化を明確にするため、ファミマオンラインではたとえば期間限定で約30万円の電動バイクや、数十万円するプレミアムなお酒などを扱っています。また、店頭では地域限定販売のグッズをより多くの方に手に取ってもらえるようにしたり、全国流通が難しい小ロット商品や希少価値の高い商品を抽選・受注生産方式で販売したりと、お客様が住んでいる場所に縛られず欲しいものが手に入れられる環境も作り上げました。
この仕組みがあれば、在庫リスクも低減できますし、テストマーケティングも実施できます。既にこうした取り組みも実践しており、数々のヒット商品が生まれました。店頭フェアと連動した限定セットの販売や、オリオンビール、コールマンといったブランドとのコラボレーションも好評です」
こうした施策が功を奏し、ローンチ以降順調に成果を伸ばすファミマオンライン。アクセス数は、前身のECサイトと比較して前年比約8倍、売上額も前年比約2倍となっている。
この数字を後押しするのが、ファミリーマートがもつアセットだ。2019年7月にサービス提供を開始し、先んじて会員基盤を作り上げていたファミペイに加え、全国の店舗と働くスタッフ、商品を届ける物流網やオンオフを問わないタッチポイント、数々の人気商品を生み出してきた商品MDなしに加速度的な成長は難しい。
「デジタルコマース戦略においては、ファミマオンラインだけでなく、メンバーズプログラムの刷新やふるさと納税サービスの開始、リテールメディア『FamilyMartVision』やメーカー様との共同マーケティングの取り組みと多種多様な展開を行っていますが、すべてが順風満帆だったわけではありません。
特にファミペイは、ローンチから3年ほど経ったタイミングで各種数値が伸び悩み、今後の戦略をどう進めていくか関係者間で議論を重ねなければならないほどでした。このタイミングで、さらなるグロースに向けたステートメント作成を行い、質の向上を図った結果、今の会員規模や質の向上につながっています」
