“同僚”のようにデータ分析をAIに相談 新たなインサイトを発見する方法
そんなZENBが活用しているContentsquareの価値を、より引き出す新機能が登場している。本イベントの基調講演では、ContentsquareのCEO 兼 創業者 Jonathan Cherki氏、Contentsquare Japanのシニア・ソリューションコンサルタント 沖本篤史氏より、さらに顧客体験の向上を加速させる方法も紹介された。
「顧客体験の向上を支える“高度な知能”になりたい」と力強く語るCherki氏。なぜ、Contentsquareに進化が必要だったのだろうか。
「当社が目指すのは、先を見越して考え、状況に適応し、問題を解決し、皆さんにかわって意思決定を行う存在です。そのために、コンテンツやカスタマージャーニー、収益、エラー、フィードバックなど、様々なデータを一つのプラットフォームで収集し、分析できる仕組みを提供してきました。一方で、市場は急速に変化していると同時に、顧客の企業への期待は高まっています。データ分析を再発明するタイミングではないでしょうか」(Cherki氏)

それを実現するのが、Contentsquareに搭載されたAI「Sense」だ。たとえば、自社ECサイトの購入率が下がっているとき、理由を探るためにSenseに「商品詳細ページからの決済への導線を確認したい」と質問すると、的確な回答を得られるという。


Senseが、商品詳細ページからカート、決済ページ、完了まで、顧客がどの程度遷移しているのかを読み取った上で、定量的な情報とともにサマリを表示する。さらに「決済ページの離脱が気になる」と質問すれば、Senseがジャーニー分析に切り替え、決済ページからカートに戻っている人の存在など、顧客行動の特徴を提示してくれるのだ。
Senseのデモンストレーションを行った沖本氏は、「何に着目して分析すれば良いかわからなくても、普段同僚にするような相談をSenseにできる」と話す。
「サイト内の課題を見つけるだけでなく、その改善インパクトまで提示します。『購入ボタンの配置をわかりやすくして導線を改善した場合、1ヵ月で600万円の売上成長が見込める』といった具合です」(沖本氏)

現在、Senseはさらなるアップデートを控えている。これまでは、ユーザーが「このページで離脱が多いから、もっと深掘りしてほしい」などと、一部の指示出しを行う必要があった。今後は、Senseが自ら自社ECサイトの構成を分析し、カートボタンの位置やクリック率、スクロール率などを把握。どこに改善点があるかを見つけた上で、対応策を迅速に提案できるようになる。
「Senseは、従来のアシスタントのような役割から一歩踏み込み、より自律的にデータを分析し、リアルタイムで改善の提案を行う“エージェント”へと進化していきます。分析したいページさえ入力するだけで、今まで気づかなかったインサイトや発見を自動的かつ定期的に受け取ることができるのです」(沖本氏)

このように、Contentsquareが目指すのは、AIが単なるツールにとどまらず、ビジネスの成長を後押しするパートナーとなる未来だ。講演の最後にCherki氏は、EC担当者・マーケターに向けてこうメッセージを送った。
「大きな変化は、ときに混乱をもたらすこともあるでしょう。しかし、私は新たなテクノロジーに対して、楽観的に捉えています。Senseが、皆さんにとって成長の機会を創造すると信じています」(Cherki氏)