スタッフのやる気と顧客体験を上げる Zoff流コンテンツ作りのコツ
「商品の見せ方のポイントとして重視しているのが、“高見え”と“リアルさ”です。仮に5,000円の商品でも、『おしゃれでクオリティが高い』と思ってもらえるような商品画像を用意しています。加えて、店舗スタッフによる様々なパターンの着用画像を拡充し、購入後のサイズ感や着用イメージを伝えるのも大切です」
Zoffがコンテンツで重視するのは、こうしたファッション性だけではない。猪俣氏は「店舗スタッフが100人いれば100とおりの提案方法がある」と強調する。
たとえば「強い度数のレンズでも、目が小さく見えづらいフレームの選び方」「釣りにピッタリなアウトドア向けのサングラス」などと、実生活に根ざした提案ができるスタッフ層の厚さは、同社の強みだ。

「Instagramをはじめ、SNS上で30代~40代の眼鏡をかけた男性の自撮り投稿を見たことはあるでしょうか。投稿の多くは女性ですよね。つまり、同世代の男性からすると『自分が眼鏡をかけたらどう見えるのか』を想像しづらいのです。もちろん、これは他の属性の方にも当てはまる悩みでしょう。そんな隙間を埋めるのが、店舗スタッフの着用画像です。特に30代の男性スタッフによる投稿は、実際の購入に結びつくケースが多くあります」
このような施策を進める上で不可欠なのが、実店舗側との連携だ。日々接客に追われる店舗スタッフが、モチベーションを保ちながら継続的に投稿するのは容易ではない。また、自分の発信がどれだけ成果につながったか把握できなければ、協力を得るのは難しいだろう。
Zoffでは、店舗スタッフの投稿を始めた当初、本部で投稿実績を手作業で集計しレポート化していた。しかし、全国に存在する店舗スタッフの投稿をすべては追い切れない。「どうしても投稿数が多い一部のメンバーが、レポートの常連になっていた」と猪俣氏は振り返る。
「地道に投稿を続けていたり、ニッチでも重要な情報を発信していたりする店舗スタッフの活躍が、見えづらくなっていました。彼らが積極的に投稿したくなる環境を整えられるかが、当時の大きな課題の一つだったのです」
そこで2025年4月に、Zoffはバニッシュ・スタンダードが提供するスタッフ投稿支援アプリ「STAFF START」を導入。実店舗と自社ECサイトの連携を、全社的に強化する取り組みを開始した。
「投稿が売上につながった際には、店舗スタッフ本人に通知が届く仕組みとなっています。自身の投稿ランキングや売上実績をリアルタイムで確認できるようになりました。これにより、店舗スタッフが『自分の発信が成果に直結している』という実感をもてるようになっています。実際、投稿のアクティブ率も大きく向上しました」
最近では、店舗スタッフが現場ならではの視点で撮影したリール動画も好評を博している。これらのコンテンツは、自社ECサイトやSNSにとどまらず、広告素材としても活用可能だ。スタッフ一人ひとりの発信が、ブランドの価値を作り上げている。