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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

「Zoff」が見つけた“オンラインで眼鏡を買う理由”の作り方 EC化率30%への道筋を語る

 実店舗を主戦場としてきたアイウェアブランド「Zoff」が、オンラインでも存在感を強めている。2024年度のEC売上高は32億3,500万円に達した。前年度比21.7%増を記録し、コロナ禍の“EC特需”後も着実に成長を続けている。同社がEC事業を強化する狙いとは──。株式会社インターメスティック 商品・マーケティング戦略本部 EC事業部 ECMDグループ 猪俣拓氏に、その戦略を聞いた。

「壊れた」「度が合わない」以外のニーズを創れるか

 「Zoff」を手掛けるインターメスティックが、大きな目標の一つとして掲げるのが「EC化率30%」だ。現在のEC主要顧客は30代~40代と、実店舗よりもやや年齢層が高い。今後は、デジタルネイティブな20代のユーザーを増やし、次の成長曲線を描こうとしている。

 EC事業の強化は、売上の拡大のみならず、収益構造の最適化にもつながる。実店舗では、接客はもちろん、視力測定やレンズ加工といった作業に工数がかかる。それがEC上では、完成品のサングラスなど度数が不要な商品が購入されることが比較的多い。EC経由の注文が増えれば、実店舗の業務負担が軽減され、結果的に利益率が向上する。猪俣氏は「自社ECサイトも“一つの店舗”と捉え、積極的に活用していく方針」と明かした。

 中でも、ZoffのEC売上をけん引しているのがサングラスとコラボ商品だ。サングラスは、アウトドアブームなどを背景に、日本でも需要が高まっているという。

「かつては濃いカラーレンズで日差しを遮る機能性重視の商品が主流でした。ところが最近では、薄いカラーレンズや調光レンズなど、ファッション性のある商品に目が向けられ始めています。特に調光レンズは、紫外線の量で色が変わる機能がSNSで話題になるなど、人気のアイテムです」

株式会社インターメスティック 商品・マーケティング戦略本部 EC事業部 ECMDグループ 猪俣拓氏
株式会社インターメスティック 商品・マーケティング戦略本部 EC事業部 ECMDグループ 猪俣拓氏

 ZoffのEC事業を支えるもう一つの柱であるコラボ商品は、近年の推し活ブームが追い風となっている。従来、眼鏡は「壊れた」「度が合わなくなった」のように、必要に迫られて買い替える人が多い商材。しかし、推しキャラクターのデザインの商品だと、既に眼鏡をもっていても「もう1本欲しい」と購入する人が少なくない。つまり、従来とは異なる購買サイクルを生み出しているのだ。

「昨年、女子高生4人組が登場するアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』とコラボレーションした際には、全キャラクターの商品を購入するお客様もいらっしゃいました。現在、このようなIPとのコラボ商品の多くは、自社ECサイト限定で展開しています。予約注文で事前に需要を把握できるため、在庫リスクを抑えながら、『数量限定で買えなかった』という残念な顧客体験を防げるからです」

 一方、サングラスの場合は、ZOZOTOWNやand STといった外部モールで購入されやすいという。猪俣氏は「ファッション感度が高い層との接点がもてる。サングラスと外部モールとの親和性は高い」と説明する。

 ただし、外部モールには多種多様なブランドが参入しており、競争が激しいのも事実だ。低価格な商品も溢れている。そのため、Zoffが実店舗や自社ECサイトとまったく同じ商品を展開しても、優位性が発揮しづらいという課題があった。それを解決するため、同社がこだわっているのが商品の“見せ方”だ。

「外部モールで競争力のある価格やデザインの限定商品も展開しています。とはいえ、安くするだけなら方法はいくらでもあります。必要なのは、価格競争に巻き込まれない工夫です。たとえば当社では、商品撮影・採寸・原稿作成の“ささげ”やスタッフコンテンツ作りに特に力を入れ、他社と差別化しています。2年半ほど前から社内に撮影体制を整備し、ノウハウを蓄積してきました」

次のページ
スタッフのやる気と顧客体験を上げる Zoff流コンテンツ作りのコツ

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この記事の著者

山田優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川県出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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