配送コスト削減に貢献 注目の新サービス「ゆうパケットパフ」とは
顧客の声に耳を傾けることで生まれたサービスの例として、堤氏は2025年2月25日にリリースした「ゆうパケットパフ」を紹介した。
「ゆうパケットパフは、年間1万個以上の小型荷物を配送する法人向けに、ゆうパックの最小規格(60サイズ)に満たないサイズの荷物を全国一律運賃で配送するサービスとして、提供を開始しました」

同サービスでは、専用袋と任意の箱いずれかの資材を選ぶことができ、原則1kgという重量の範囲であれば前者はA4サイズ相当の袋内に入れ放題、後者は厚さ7cmまでであればゆうパックよりも安価な料金での配送が可能となる。
「専用袋の発送は、近年勢いを増す海外越境ECプレーヤーの配送スキームにヒントを得ました。郵便バイクで配達ができるサイズかつ宅配ボックスや郵便受箱などへの非対面配達を原則としているため、配送コストを抑えたサービス提供を実現しています」
酒類など割れ物ECも確実に届ける 転居先の把握・転送は独自データで実現
ゆうパケットパフのように配送効率化・コスト削減に役立つサービスは、EC事業者にとっても活用メリットが大きいはずだ。しかし、対顧客に商品を届けるフローを任せるには「安心して届けられるか」「破損などなく確実に運べるか」といった点も重要となる。日本郵便は独自のサービスや仕組みを使い、こうした面も盤石なフォロー体制を築いているという。
「当社は居住者から申請される『転居届』だけでなく、配達時に『居住確認』をすることで居住者データベースを常に最新のものにしています。転居が確認できた際は、無料で1年間新住所へ転送する『転居・転送サービス』も提供していますので、高い配達率を誇っている点も特徴です」
このようなフォローアップの仕組みは、お中元・お歳暮など慣習的なギフト需要や通販の定期配送比率が高いEC事業者に特に役立つ。
たとえば、マッサージクレンジング「MANARA」などを開発・販売する株式会社ランクアップでは、定期購入者が顧客の多くを占めることから、日本郵便の法人向けサービスを導入する以前は商品の未着率・返送率に課題感をもっていた。しかし、日本郵便に委託先を変更し、居住者データベースに基づいた配達が可能となったことで、配達ロスの削減に成功。事業効率が大きく改善されたそうだ。
「『確実にものを届ける』という点では、破損率の低さも日本郵便の強みです。近年、酒類のEC需要が非常に高くなっていますが、瓶に入った商品は破損リスクが非常に高く、荷受を避ける運送会社もいらっしゃると耳にしました。
しかし、日本郵便では二段式ロールパレットをカゴ車として採用し、荷重がお預かりした荷物にかからないようにすることで破損、汚損、変形リスクを最小限に抑えています。こうした点が評価され、北海道の網走ビール株式会社さまや、沖縄で泡盛・ウイスキーを販売する久米仙酒造株式会社さまなどにもサービスをご利用いただいております」