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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

勝つD2C 注目ブランド大研究

1億円の売上を手放した「もちはだ」の今 ワシオに大規模な組織・自社ECサイト刷新の裏側を聞く

「Makuake」は社員の挑戦の場 自社ECサイトとの使い分け方

 自社ECサイトのほかにも、ワシオは応援購入サイト「Makuake」で複数回にわたって商品を販売してきた。鷲尾氏は「自社ECサイトが“顧客に寄り添った提案をする場”なら、Makuakeは“社員の挑戦の場”」と説明する。

 同社がMakuakeで初めてプロジェクトを開始したのは2017年のことだ。当初は、鷲尾氏が主導で企画し、テーマや伝えるストーリーを作り込んでいた。しかし、2023年から建付けを大きく変え、同プロジェクトの運営を別スタッフに引き継いだ。

「私の仕事量を調整する意味合いもありますが、社内で新しいアイデアを生み出す意欲を高めたいと考えました。現在、Makuakeは売上を立てるよりも、社員が新商品を発表する機会として活用しています」

 自社ECサイトとMakuakeでは、来訪する顧客層は異なる。そのため、新商品とともに、新規顧客にもちはだを知ってもらう入り口にもなっている。

「Makuakeは広報のような立ち位置だと捉えています。それぞれの販路やコミュニケーションの場に合った形で、もちはだの価値や魅力を発信していきたいです」

1年以内に失った売上を取り返したい 海外にも広がるビジネスチャンス

 こうした取り組みによって鷲尾氏が目指すのは「おすすめの輪の拡大」だ。ワシオでは、社員たちが家族や友人など、周囲の人々に自然ともちはだを紹介する習慣が生まれている。それと同じように「寒いならもちはだを着れば良い」と伝える人を一人でも増やすことが、大きな目標の一つだ。

「その一歩として、まずはお客様と社員に還元できるだけの売上を立てたいです。当社は、楽天市場を撤退して1億円の売上を失いました。高い目標ではありますが、1年以内に失った分を取り返したいと思っています。

 そして、将来的にはEC事業の売上比率をさらに上げたいです。現状はBtoB販売・OEMが60%、EC販売が40%となっています。3年以内を目安に、EC販売の割合を60%程度にまで引き上げる計画です」

 事業拡大の可能性が広がっているのは、国内だけではない。ワシオでは、もちはだのほかにもアパレルブランド「YETINA」を運営しているが、ノルウェーの顧客から「北欧でYETINAを販売しないか」とメールが届いたという。

「北欧は、日本よりも寒い地域が多いはずです。これからは世界も含めて、寒さに悩んでいる人を探しに行き、当社の商品を届けていきます。そして、その人自身の世界から『寒い』をなくしたいですね」

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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