最近ホットなのはYouTube Shopping連携 個と向き合うブランド体験構築のポイントとは
次に外山氏は、ファーストパーティデータを活用し、Shopifyで「“個と向き合う“ブランド体験」を実現する方法について言及した。大きく分けると、施策は「Shopify内で完結するもの」「Shopifyアプリを利用するもの」「外部システム連携によるもの」の三つがあるという。
1. Shopify内で完結するパーソナライズ施策
ECサイトで顧客が購買に至るには、大まかに分けても「流入」「会員登録」「サイト回遊」「購入」といったステップが存在する。近年は、ファーストパーティデータ活用やLTV向上の観点から「アフターフォロー(リピート・ロイヤリティ施策)」も外せない。その各所に設けられたShopifyならではの強みを、外山氏は紹介した。
流入接点創出の策として、Shopifyでは前出のように、管理画面上で販売チャネルを選択するだけで様々なチャネルとの連携が実現できる機能を提供している。
「最近ホットなのは、YouTube Shoppingです。アップロードした動画やライブ配信画面の下に関連商品の情報を配置できます。ユーザーが動画を視聴し、購買意欲が高まったタイミングですぐにクリックして購入できる、非常に便利な仕組みです」
各施策を行う上で欠かせない顧客データも、直感的に理解・分析できるダッシュボードを用意している。ダッシュボードでは、チャネル別の売上やパフォーマンスに加え、ベストセラー商品、ソーシャルソース別のセッション数・売上をグラフで表示。新規購入者のリピート率や新規・リピーター顧客への販売比率の可視化やコホート分析、同一カテゴリストアとの比較なども可能となっている。
「顧客セグメントリスト化機能も用意しています。『サブスク登録者』『複数回購入した顧客』など、リストとそれぞれの割合を可視化し、細かなセグメント条件も構文を書けば自由に設定可能です。テンプレートも豊富に用意しています」
パーソナライズする上で必要なファーストパーティデータを収集するには、メタフィールドが有効だ。Shopifyでは「名前」「email」「住所」を標準顧客データとしているが、誕生日や趣味嗜好など、自社が求める項目を自由に設置できる。
「あるエンタメ企業では、会員・マイページ登録時に『お気に入りのキャラクター』を選べるようにしていました。キャラクターを登録すると、次回以降のログイン時にトップページがお気に入りキャラクターを中心としたデザインに変更されます。メタフィールドを活用すると、こうした満足度向上も可能です」
このほかにも、Shopifyにはサイト上での詳細な行動把握を実現する「Google Analytics」「Metaピクセル」との連携機能や、ノーコードでチェックアウト画面をカスタマイズできる「Checkout Extensibility」機能が搭載されている。
「Checkout Extensibilityは、顧客のニーズを深く理解した24時間365日疲れ知らずの優秀な営業担当をチェックアウト画面に配置するようなものです。事前に条件設定さえすれば、会員ランクごとの限定割引や、過去の購入データを基にしたおすすめ商品の提示、誕生日特典やポイント利用の提案など、CVRやAOV(平均注文金額)向上に寄与するオーダーメイドのチェックアウト体験が作れます」
リピート促進やロイヤリティ向上につながるアフターフォローのフェーズでは、Shopify Flowを活用すれば、ノーコードで施策の自動化ができる。誕生日の顧客やアンケート回答者に向けた特典送付や、VIPに向けたシークレットセールの告知など、細やかなパーソナライズのフローをドラッグアンドドロップで可能にする。
「Shopify POSを活用すれば、チャネルをまたいだデータの一元管理もできます。あるアパレル企業では、オンラインからフィッティング予約をした顧客の情報を、店舗スタッフが事前にShopify POSで予習し、接客体験のパーソナライズ化を実現しています。これにより、接客の満足度やブランドに対する愛着を高めることに成功しました。Shopify内で完結させても、アイデア次第で様々なパーソナライズ施策が実行可能です」