財務管理やキャッシュフロー改善など副次的な効果も
Stripe の決済サービスを導入したことによる具体的な効果について、湧川氏はこう語る。
「決済成功率がすぐに確認できるようになったのは大きかったです。以前は、そもそもどの程度の決済が成功しているのか可視化できない仕組みでした。現在は、決済成功率が低いタイミングや理由がすぐにわかり、改善につなげられるようになりました」(湧川氏)
湧川氏が特に Stripe の価値を実感しているのが、不正利用対策だ。Stripe では、在庫や配送料、原価などに悪影響を及ぼす不正利用を抑止する機能「Stripe Radar」が搭載されている。
「現時点で、合計約2億円の不正取引のブロックに成功しています。不正請求を発見した顧客からの問い合わせも大幅に削減され、カスタマーサポートの負担も軽減されました」(湧川氏)
どのような取引をブロックできるかは、カスタマイズが可能だという。また、不正取引の発生件数はダッシュボードで確認できる。グラフを見ながら改善策を立てられるのも、Stripe の特徴の一つだ。
送信された取引の中で、カードネットワークによって承認された取引の割合を示すオーソリ率も、ダッシュボードで管理可能。TENTIALの場合、オーソリ率が業界平均よりも高く、キャンセルコストが抑えられている。
「以前は可視化できなかったオーソリ率が、Stripe の導入で明確化されました。業界平均のオーソリ率が90~95%といわれる中で、当社は98%というハイスコアを維持できています」(湧川氏)
加えて湧川氏と酒井氏は、Stripe 導入による「副次的な効果がかなりある」と言及した。
「導入のきっかけとしても挙げましたが、Stripe の開発のしやすさは随一です。APIでデータをすぐにつなげられるため、購入フォームを細かくカスタマイズできます。カスタマーサクセスの側面でも、管理画面が非常にわかりやすいです。キャンセルや問い合わせの内容から商品サイズの確認などを行った結果、購入されたかどうかを個人レベルで確認でき、チーム内でも使いやすいと好評です」(湧川氏)
「財務諸表では返金のデータが反映されにくいのですが、Stripe の導入で管理・測定できるようになりました。当社では、APIを通じて返金データをデータウェアハウスに蓄積しています。非エンジニアが開発できるほど Stripe のAPIが使いやすく、ドキュメントが充実している点も魅力的です。そして、キャッシュフロー改善の面でもメリットがあります。Stripe では、他社の決済サービスではオプションであることも多い、早期入金が実現されています。一種の資金調達効果も感じられました」(酒井氏)