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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2023 Autumn レポート

ヤマハ発動機・BASE FOODのファンコミュニティに“熱い”顧客が集まる理由 違いと共通点を探る

 企業が顧客と直接つながる新しいタッチポイントとして、ファンコミュニティが注目されている。どのように運営すれば、顧客満足度が高い商品の開発や迅速なサービス改善につなげられるのだろうか。2023年9月22日開催の「ECzine Day 2023 Autumn」では、ヤマハ発動機株式会社 プロダクトデザイン部 グループリーダー 木下保宏氏、ベースフード株式会社 マーケティング部 コミュニティマネージャー 吉田千紘氏が登壇し、両社のファンコミュニティの取り組みを紹介。商品特長を活かした運営方法の在り方を探った。

商材の異なる2社に共通する熱心なファンの存在

 ヤマハ発動機とベースフードはまったく異なる商材を取り扱いながらも、熱心な顧客が集まるファンコミュニティを運営し、ビジネス成長につなげている点で共通している。

 ヤマハ発動機は、オートバイや電動アシスト自転車、ボートなどの商品を通して「感動を創造する」ことを事業目的に掲げており、同社初のファンコミュニティにもその精神が反映されている。2022年に国内発表した新型スポーツバイク「YZF-R7」のオーナー向けに、コミュニティサイト「ヤマハモーターラボ for R7」を立ち上げた。現在は、主に40~50代以上の男性約900人が参加している。

ヤマハモーターラボ for R7
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 同社の木下氏は、立ち上げた理由を「通常、プロダクトデザインは商品を作るまでが仕事だが、これからは発売後のお客様との関係もデザインしていく」と説明する。

 木下氏いわく、その背景には時代の変化により「『モノを売って終わり』では勝ち残るのが難しくなった」ことが関係しているという。昨今は、多様化・細分化する顧客ニーズに対応するために、顧客との相互交流によるリサーチが必要になっているからだ。

ヤマハ発動機株式会社 プロダクトデザイン部 グループリーダー 木下保宏氏
ヤマハ発動機株式会社 プロダクトデザイン部 グループリーダー 木下保宏氏

 また、顧客と直接やりとりし意見を聞くことで、エンゲージメントや企業ブランドイメージを向上するといった狙いもある

 一方、2016年創業のベースフードは、1食に必要な33種類の栄養素がすべて摂れる完全栄養食を開発・販売している。パンの「BASE BREAD」シリーズの他、パスタやクッキーを展開しており、現在、定期購入者は20万人以上に上る。この定期購入者を対象としたファンコミュニティが、「BASE FOOD Labo」だ。

 BASE FOOD Laboでは、会員が「研究員」として商品開発やサービス改善に参加できる。ダイエットプログラムなど、会員同士で励まし合ったり交流したりできる仕組みもある。

 ベースフードとしては、コミュニティを通じて顧客の意見を集め、すぐに開発や改善に活かせる点にメリットがある。

「ファンコミュニティは始めるのが難しいという声もありますが、当社は初期の段階から、成長を目指してコミュニティ作りに注力してきました。育てるのに時間はかかるものの、模倣されにくい『ストック施策』を中心に据え取り組んでいます」(ベースフード 吉田氏)

BASE FOOD Labo ストック型施策の一部
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 同社のストック施策には、アンバサダー制度や顧客の声を反映して商品やサービスの改善を続ける「カイゼン文化」の育成などがある。顧客の声を改善に役立て、それを顧客に伝えることを文化として根付かせる。これにより、信頼関係の構築を図っているのだ。

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この記事の著者

加納由希絵(カノウ ユキエ)

 フリーランスのライター、校正者。地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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