「がっかり体験」を顧客に提供しないために必要な4要素
現代のソリューション選びにおいては、「前出した各要素をカバーした顧客コミュニケーションができるか、といった視点が重要」と続ける伴田氏。理想とするアプローチを、具体例を挙げながら紹介した。
たとえば、「ランチを頼んだ後に、ランチ限定のクーポンが届く」「在庫が少ないのにプッシュ通知が送られてきて、閲覧したときには売り切れていた」「天気が悪いのにマリンアクティビティの案内が来た」といった、「がっかり体験」をしたことはないだろうか。
本来、ランチを頼んだ顧客に対してはその後にオーダーするデザートやコーヒーの案内が、お気に入り登録した商品の在庫が少なくなればリマインドが、悪天候の際には室内アクティビティの提案が送られるのが、健全なコミュニケーションといえる。
「リアルタイム」を指す「ユーザーのシグナル」と「外部情報の活用」は、自動的なアプローチでありながらも、こうした内外の情報と消費者心理をかけ合わせて情報提供できているかどうかが肝となる。「オムニチャネル」については、顧客がよく見るチャネルからアプローチがなされているか、店舗の近くを歩いている際にクーポンが発行されるなど、来店を促すおもてなしが実現できているか。「連続性」においては、これまでの反応状況に応じて表示内容を変化できているか、といった具合だ。いずれも、「特別な気持ちにさせてくれるコミュニケーション」を生み出す視点が重要となる。
チャネル増で変わるMAのあり方
テクノロジーの進化により、こうした施策展開も実現可能となったが、いまだに日々「残念な顧客体験」が生まれ続けているのも事実だ。その理由として、伴田氏はマーケティングオートメーション(MA)の歴史をひもとく。
MAはマスマーケティングの効率化の一環として米国で誕生し、2013年頃に日本に入ってきたといわれている。初期はメールを一括配信すればするほどコンバージョンが上がり、有用性を評価されていた。
技術の発展とともにウェブは人々の暮らしに浸透し、チャネルも増加。それにともない、ウェブサイトのアクセス解析、それらに基づいたウェブ上のパーソナライズ、ポップアップによるメッセージングなど主要ツールも増えていったが、それぞれが分断しているため、バッチ連携により拡張してきた。
「Brazeは、これからの顧客エンゲージメント向上には『どれだけの数を送れるか』ではなく、『どれだけ適切なタイミングで送れるか』の視点が欠かせないと考えました。そこで『顧客が何をしたか』といった行動にフォーカスし、それに合ったタイミングとチャネルでのコミュニケーションが実現できる形に仕上げています」
なお、Brazeはデータの取り込みからメッセージ送信までを、最短1.1秒で実現しているという。
「現代は、そのレベルのスピード感で顧客行動を捉える必要があります。Brazeは『カスタマーエンゲージメントプラットフォーム』として、迅速なアプローチができるよう機能を取りそろえています」