多様に進化するUGC
「将来的には、ECサイトのコンテンツの大部分が口コミやレビューなどのUGCになる」と山崎氏は言う。企業側が掲載する正式な商品情報にUGCが大量に紐づけられ、日々蓄積・更新されるイメージだ。
「レビューなどECサイト上のUGCは、有益なオーガニックコンテンツと言えます。SEOのロジックも精緻になっていく中、日々更新されるコンテンツを保有するページの優位度は高まっていくと考えられます」
レビュー機能の活用で複数価値を持つように
有用性が示されたとはいえ、UGCは消費者が自発的に投稿するもの。企業は、投稿の促進はできても、思いのままにコントロールすることはできない。だが、昨今はレビュー機能が進化しており、一つのレビューで様々な消費者の属性確認が可能となっている。それにより、一つのUGCに複数の価値を持たせることができるのだ。
「ゴルフ製品を例に挙げると、体力のある上級者と体力に自信のない初心者とでは、同じ製品でも評価が異なります。そのため近年は、属性ごとに必要な情報が得られるよう評価軸を多様化するなど、レビューも進化しています。これにより、レビューと接したときの、消費者の属性によるギャップを軽減できます。UGCを参考にして購買行動に至った消費者のCX向上が期待できます」
インタラクティブなやり取りでCV向上につなげるQ&A
Q&AもECサイトにおけるUGCの一つだ。従来の形式では、サポートセンターの負荷を軽減するための、固定されたFAQのイメージがあるだろう。しかし、現在はQ&Aも進化を遂げている。
「Q&Aを介して回答を得られた消費者のコンバージョンは、98%増加するとのデータもあります。大手モールのレビュー欄を見ると、消費者同士の自発的なやり取りで疑問が解決されていることもあるでしょう。消費者は納得感を持って商品を購入でき、ひいては返品率の低下にもつながります」
ハッシュタグがUGCをつなぎCX向上へ
さらにハッシュタグが、レビューやQ&AなどのUGCや商品と消費者を結びつける。
「ハッシュタグを付与することで、商品とUGC、SNSへの投稿と連携しやすくなるのはもちろん、レビューから新たなハッシュタグが生まれて回遊性が高まることもあります。特にZ世代はハッシュタグの活用に慣れていますから、ハッシュタグをキーにマーケティングが有機的につながり始めています」
満足度の高い購買体験ができた消費者が、新たなUGCを生成し、別の消費者の良質な購買体験へとつなげていく。UGCをメタデータとして整備し、有機的に活用することで、CX向上のスパイラルが生まれる。