マスではできないアプローチをD2Cで実現
──「Body Granola」は2023年4月よりサービスを開始し、「OMA MESI」はその少し前の1月に始動しています。まずは、それぞれのブランドが生まれた経緯を教えてください。
金子(Body Granola) 「Body Granola」は2020年、コロナ禍で免疫に注目が集まったのをきっかけに、「もっと一人ひとりの健康状態に寄り添ったサービスでお客様の健康に寄与したい」という想いから、プロジェクトとして発足したものです。
当時、腸内環境研究で国内最先端をいく株式会社メタジェンと出会い、「個人の腸内環境に着目したビジネス」というコンセプトにたどり着きました。サービス実現に向けては、国内最大規模の腸内フローラ検査実績を持つ株式会社サイキンソーにも加わっていただき、2023年4月にサービスリリースすることができました。

藤井(OMA MESI) 「OMA MESI」は、事業構想としてはほぼ同時期の2020年から始まっていますが、こちらは新規事業強化を図る社内ベンチャーとしてスタートしました。カルビーの原点である「食」についての課題を洗い出し、何ができるかを考えた結果、「一人暮らしの食事の課題」が浮き彫りになりました。そこで、お客様一人ひとりの栄養状態を把握し、最適な主菜と副菜を届けることで食生活をサポートできればと考えたのです。
──歴史の中で既に小売や卸との関係を築いているカルビーが、D2Cでビジネスを設計した点も2ブランドの特徴だと思います。どのような考えがあったのでしょうか。
金子(Body Granola) 一般的にはあまり知られていませんが、腸内環境は人それぞれ異なるため、腸内細菌が好む素材も人それぞれです。「Body Granola」では、腸内細菌が好む素材をグラノーラとしてお届けしますが、一人ひとりに合った商品をお届けするには、個人の腸内環境を調べなければなりません。こうした検査と適切な商品のお届けをセットで実現するには、D2Cでなければならないと考えました。
藤井(OMA MESI) 「OMA MESI」も、パーソナライズという切り口がマストだったため、マスではなくECでのアプローチを選びました。「OMA MESI」は現在、主菜と副菜・スープ合わせて34品目を用意していますが、スーパーなどでこれらすべてを棚に並べてもらうことは非常に困難です。また、「お客様が好きな食材を選ぶ」というスタイルでは「OMA MESI」が目指す「栄養バランスを整える」という目的からは外れてしまいます。「栄養バランスが整ったものを提案し、その上で自分の好き嫌いを加味した調整ができる」という状況を実現するには、D2Cでのアプローチがベストだと判断しました。