日本のEC体験はより良くなる? 意識改革が進んだコロナ禍
2003年より、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップ。長年、企業・ブランドが抱える課題を直接ヒアリングし、プラットフォームの利便性やサポート体制の向上に挑んできたが、コロナ禍を経て企業・ブランドから寄せられる相談内容が変化しつつあると言う。
「消費者が思うように買い物に出かけることができなかったコロナ禍は、多くの企業・ブランドがEC売上を伸ばしました。これまで店舗で多くの売上を生み出してきた企業・ブランドは、それによって助けられた部分もあったのではないかと思います。
しかし2022年後半頃から『出かけることができないからECで購入せざるを得ない』と考えていた消費者が、店舗に戻り始めています。それにともない、EC売上の鈍化、もしくは減少を課題とする企業・ブランドが増え、当社にも多くの相談が寄せられています」
こうした企業・ブランドの多くは、「『2020年以降、新規顧客が大幅に増加した』という共通点がある」と続ける水岩さん。顧客の母数が増えれば売上もアップするはずだが、「伸び悩む企業・ブランドは、コロナ禍で獲得した新規顧客のリピート促進に苦戦している」と説明する。
「店舗をお持ちの場合、コロナ禍で来店できなかった顧客が店舗に戻ったことでEC売上が減少しているケースもあります。顧客の動きが可視化できており、トータルで売上が増えていれば問題ありませんが、LTV向上の視点から見れば店舗とEC双方で購入してくれる顧客を増やす努力は欠かせません。こうしたチャネルをまたいだ取り組みを促進するために『MAを導入したい』などのご相談も増えてきました」
従来は、「店舗スタッフ vs EC担当者」といった対立構造もオムニチャネル・OMO推進を阻む要素として語られていることが多かったが、コロナ禍という不可抗力により現場の意識改革は進んでいるそうだ。
「店舗スタッフ自身も消費者として購買チャネルを使い分けるようになり、オムニチャネル・OMOの利便性や必要性を感じたのでしょう。当社で提供しているオムニチャネル対応プラットフォーム『futureshop omni-channel』の導入に関するご相談も、この数年で増えています。
また、近年は相談してくださるEC担当者の姿勢にも変化が見られます。従来は経営陣が旗振りをし、トップダウンで進めるケースが多かったのが正直なところでした。しかし、今は多くのEC担当者が導入後の運用や施策展開にまで目を向け、『こんな施策を実現したい』『そのために●●のような機能が欲しい』と積極的に意見を出してくれます。現場の腹落ち度合いは、開発・導入の進捗やその後の成果にも大きく影響するため、主体性が見られるのは日本のEC体験がより良くなる兆しだととらえています」