理想とするのは「おいしさで選んだら地球にも体にも優しい」商品
高松(フロアスタンダード) まずは、「畑の贈り物」というブランドについて教えてください。
平野(tokyo farmfood) 畑の贈り物は「世界一おいしいプラントベース食」を目指すライフスタイルブランドで、今は1食で1日分の不足野菜が摂れる生パスタを作っています。
商品のポイントはふたつあり、ひとつめは「生パスタ1食分に70gの野菜が入っている」というところです。なぜ70gなのかというと、厚生労働省が成人の野菜摂取量の目標値を350gと定めているのですが、実際は1日に成人男性で約290g、女性で約270gしか野菜を摂取できていないというデータが存在することに起因しています(厚生労働省「平成30年『国民健康・栄養調査』の結果」より)。1日1食、僕らの生パスタを召し上がっていただくことで、1日の野菜摂取量の目標値から不足している70gを補えるような設計にしました。中には、「パスタは手軽でおいしいけど、体には良くない」といったイメージを持つ方もいるでしょう。こうしたイメージを払拭するためにも野菜を入れるようにしています。また、卵を一切使わないことでアレルギー対応や動物性の素材を摂らないヴィーガンの方にも召し上がっていただけるようにしました。
高松 ふたつめのポイントについても、お聞かせください。
平野 ふたつめは、「地球にも優しい」という点です。畑の贈り物の生パスタに練り込んでいる野菜は、実は一般消費者の手元には届かない規格外の野菜を一部利用しています。二股大根などのように、味や栄養素はまったく変わらないにもかかわらず、見ための悪さで捨てられてしまう野菜は多く存在するのが実情です。これらをフリーズドライにした後に粉末にして生地に練り込むことで、廃棄野菜の削減やSDGsも意識しています。
とは言え、僕らがもっとも大事にしているのは「おいしい商品を作ること」です。「健康でいよう」「地球に優しくしよう」といった考えや取り組みは近年のトレンドとして加速していますが、一般消費者がもっとも求めているのは「おいしさ」に違いありません。食生活において「何かを我慢する」「引き算で何かを選ぶ」のは、非常にもったいないことです。僕らとしては「おいしいから選びたい」と思ってもらえることを最優先とし、その裏側で「実は体にも地球にも優しい」という状況が実現できればと考えています。