OEMからの脱却を目指し、自社ブランド立ち上げ
高松(フロアスタンダード) 木村石鹸工業(以下、木村石鹸)さんはいくつか自社ブランドをお持ちですが、まずそちらの紹介をお願いできますか?
木村(木村石鹸) 現在は、大きく分けて「SOMARI」「C SERIES」「12/JU-NI」と三つのブランドを運営しています。「SOMARI」は、天然由来成分の石鹸をベースにした家庭用の洗浄剤やボディケアのシリーズ。「C SERIES」は、痒いところに手が届くニッチな家庭用洗浄剤を集めたシリーズ。「12/JU-NI」は、「本当に髪に良い処方とは何か」を突き詰めて開発したヘアケアに特化したシリーズです。
高松(フロアスタンダード) 元々はOEMメインで事業展開をされていたと聞いています。なぜ自社ブランド運営を始めたのか、きっかけを教えてください。
木村(木村石鹸) 他企業が新規参入しにくい販路に商品を卸していたため、2000年代までは安定した利益率が保てていましたが、デフレや原材料の高騰が重なったタイミングでそれが難しくなってしまったのがそもそものきっかけです。
当時、既に当社はOEMで商品を製造するだけでなく、企画、開発、製造まで一気通貫で行っていまして、「売る」の部分だけ自社で行っていませんでした。なので「売る」を自社でできるようになれば、自分たちで商品の値付けをして売上の安定を図るだけでなく、商品の価値を直接消費者に理解していただきながら市場展開ができるのではないかと考えました。そこで、2015年から自社ブランドの運営を始めています。
高松(フロアスタンダード) ブランド立ち上げ当初からすぐにEC運営に力を入れていたのでしょうか?
木村(木村石鹸) 自社ブランドを立ち上げる以前から、モールで一部商品の販売を行っていましたが、売上はほとんどない状況でした。元々僕がIT企業を経営していたこともあり、インターネットを通じた販売にしっかり取り組めば売上は伸ばせると考えていたので、自社ブランドを立ち上げたタイミングで本格的にEC運営を開始しています。
高松(フロアスタンダード) EC運営に力を入れてから、売上はスムーズに伸びていったのでしょうか?
木村(木村石鹸) 問屋との付き合いもない中、すぐに展開できる販路がECサイトに限られていたため、自社ブランドのEC立ち上げ初月(2015年4月)の売上は2万円でした。しかも、その売上の大半は僕の両親です(笑)。翌月(2015年5月)は3倍になりましたが、元が2万円なので6万円です。そんなスタートだったので、決してスムーズではありませんでした。