入社直後のコロナ特需 2020年夏から働く拠点を問わず人材採用・組織構築へ
愛媛県今治市で、今治タオルの製造・販売を行うハートウエル。学生時代より地方創生に興味を持ち、長野県で住み込みのインターンなどの経験も持つ河野さんは、同社入社前より企業のECモール出店・運営やモバイルアプリのSEO責任者としてマーケティング・集客を手掛けてきた。そして、培った経験をより活かす場を求め、2020年1月にハートウエルに入社した。
「集客の方法や効率的なPDCAの回しかたを学んだところで、さらなる力試しをしてみたい。そう考えていたタイミングで、ハートウエルがEC事業の責任者を募集していると知りました。
当時のハートウエルは自社ECを立ち上げていたものの、卸を担当する事業部が片手間で運営している状況でした。1ヵ月あたりの注文数も数件程度、売上規模が小さいため専属のスタッフもおらず、商品情報やコンテンツの更新もままならぬ状況だったのです。大変そうではありましたが、ここであれば私自身がこれまで培ってきたスキルを活かしながら地方発で良い商品を届けることができるはずだ。そう思い、入社を決めました」
しかし、入社して数ヵ月後には新型コロナウイルス感染症の影響で市場環境が大きく変化した。同社もオリジナル布マスクの生産を行い時代の流れに対応したが、それにより受注件数が月に数千件にまで急増。足りない人手は「営業活動ができないスタッフにCS対応や商品撮影を手伝ってもらうなど、全社一丸で梱包・出荷を協力することで補った」と言う。
「こうして最初の緊急事態宣言を乗り切ることができましたが、他部署のスタッフにずっと手伝ってもらうわけにもいかないため、2020年の夏頃からEC事業部の組織体制構築に着手しました。7月にCS対応を行うスタッフを1名、9月には広告兼運営担当、デザイナー兼運営担当を1名ずつ採用し、現在は4名でEC事業部の仕事を行っています」
同事業部のスタッフは、現在福岡県に在住する河野さんを筆頭に、東京、関西、四国とさまざまな場所から仕事を行っている。基本的にフルリモートでEC運営を進めているが、ハートウエルにとってこのような働きかたは前例がなく、「コミュニケーションや教育面については、現在進行系でさまざまな試行錯誤を続けている」と語る河野さん。
「たとえEC運営を経験しているスタッフでも、使用していたカートやツール、取り扱う商材が違えば運用ルールも異なるので、1から指導をする必要があります。そのため、入社から3ヵ月ほどはオンライン会議ツールで頻繁に研修を行い、コミュニケーションを取りながら指導した内容をドキュメント化してノウハウを蓄積していく。その繰り返しでした。未経験のスタッフには半年から1年ほどじっくりと時間をかけてEC運営の心得から教え、わからないことを言語化できるように、そして自身で調べて答えにたどり着けるように指導していきました」