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おさえておきたいEC・通販先進企業

デザイナーズブランドとして支持を集めるTSIホールディングス アセットを生かした販売戦略とは

 TSIホールディングスは、デザイナーズブランドとして多くのファンを獲得しており、商品の質の高さに定評があります。組織力を活かし、ECにおいても目立った実績を上げています。今回は同社の基本的な特徴や事業内容、ブランドとしての強みなどを紹介します。

 株式会社TSIホールディングスは複数のファッションブランドを抱えており、アパレル企業として根強い支持を受けています。セール販売に頼らない競争力の強さが同社の特徴であり、ECでの販売に力を入れながらも、定価での販売にこだわる商品開発を行っています。

 本記事では、TSIホールディングスの企業情報や事業内容、強みとする部分や最近の動向などを解説します。

TSIホールディングスの企業情報・事業内容の概要

画像はイメージです

 株式会社TSIホールディングスがどのような会社であるかを把握するために、まずは企業情報や事業内容についておさえておきましょう。

TSIホールディングスの企業情報

 株式会社TSIホールディングスの基本的な企業情報についてまとめると、次のとおりです。

社名 株式会社TSIホールディングス
本社所在地 東京都港区北青山1-2-3 青山ビル
設立年月日 2011年6月1日
代表者名 代表取締役社長 下地毅
株式公開 東証プライム市場上場
資本金 150億円
おもなグループ会社 株式会社TSI
株式会社アルページュ
株式会社ジャック
株式会社スタージョイナス
株式会社アンドワンダー
Laline JAPAN株式会社
Urth Caffe JAPAN株式会社 など

 TSIホールディングスは東京都港区に本社を置くアパレル企業です。2011年6月1日に、東京スタイルとサンエー・インターナショナルが共同で設立しました。

 おもなグループ会社として、アパレル事業を担う株式会社TSIや化粧品や香水の輸入販売を行うLaline JAPAN株式会社があります。

TSIホールディングスのおもな事業内容

 株式会社TSIホールディングスのおもな事業内容は、アパレル事業や化粧品・香水などの輸入および卸売業、飲食事業です。特にアパレル事業については、衣料品の企画・生産・輸入・卸売・直営店での販売などを手がけており、一貫した体制を整えることで、ブランド価値の向上につなげています。

 株式会社東京スタイルと株式会社サンエー・インターナショナルという会社が元になって設立された経緯から、多くのファッションブランドを保有しているのが特徴です。各ブランドがそれぞれのターゲット層に合ったアプローチをすることで、ブランドとしての存在価値を高めています。

TSIホールディングスの沿革

 株式会社TSIホールディングスの創業から現在に至るまでの流れについてまとめると、以下のとおりです。

年月 沿革
2011年6月 株式会社東京スタイルと株式会社サンエー・インターナショナルの共同株式移転の方法による共同持株会社として、株式会社TSIホールディングスを設立
2014年3月 株式会社東京スタイルと株式会社サンエー・インターナショナルを以下の4社に分割
株式会社東京スタイル
株式会社サンエー・インターナショナル
株式会社サンエー・ビーディー
株式会社TSIグルーヴアンドスポーツ
2014年3月 株式会社TSI ECストラテジーを設立
2016年10月 有料職業紹介事業と労働者派遣事業を展開する株式会社フォーラルを完全子会社化
2019年3月 株式会社東京スタイルの4事業(ボッシュ、ナチュラルビューティー、ビンキーアンドダイアン、トウキョウスタイリスト ザ ワン)を株式会社サンエー・インターナショナルへ事業譲渡
2022年3月 株式会社上野商会を株式会社TSIに吸収合併

 株式会社東京スタイルは、1949年に設立された東京縫製株式会社というアパレルメーカーを前身としています。サンエー・インターナショナルは1949年に設立された三永株式会社を前身としており、女性服を専門に取り扱っていました。

 アパレルメーカー同士が1つの会社として統合することで、商品開発力や販売力の強化、ブランド価値の向上を図っています。

おもなブランドを紹介

 株式会社TSIホールディングスでは、各グループ会社がそれぞれブランドを保有しています。たとえば、衣料品の企画・生産・販売を行う株式会社TSIは、アパレル、ビューティ、飲食、ライセンスブランドを5つの部門に分けて展開しています。

 同社の代表的なブランドのひとつである「nano・universe(ナノ・ユニバース)」は、セレクトショップの業態が特徴です。メンズとレディースどちらも扱っており、トラッドな感覚をベースに、モダンなトレンドを表現しています。

 「MARGARET HOWELL(マーガレット・ハウエル)」は同社が保有するイギリス発のグr-バルブランドです。デザインや世界観はそのままに、日本の気候や日本人の体形に合わせた素材やサイズにアレンジし、日本で生産販売しています。シンプル&ベーシックをベースに、着心地や機能性を追求したモダンなデザインが特徴です。

 ゴルフウェアの「PEARLY GATES(パーリーゲイツ)」は、1989年に誕生しました。「もっと気軽にもっと楽しくゴルフをしよう」というコンセプトで、ファッション性と機能性を兼ね備えたウェアを提案しています。

 「JILL by JILLSTUART(ジル バイ ジル スチュアート)」は、ニューヨークのコレクションブランド「JILLSTUART」のコレクションブランドです。「JILLSTUART」をよりデイリーに楽しんでもらおうと、幅広いラインナップで展開しています。OLをメインターゲットとし、駅ビルなどに出店しています。

TSIホールディングスの強みや特徴

 株式会社TSIホールディングスはデザイナーズブランドとして根強い支持を集めており、定価での販売比率が高いことにも特徴があります。ここでは、同社がどのような強みを持つのか解説します。

デザイナーズブランドとしての根強い支持がある

 株式会社TSIホールディングスが提供しているファッションは、全体的にシンプルなデザインの服が多いという特徴があります。「nano・universe」「NATURAL BEAUTY BASIC(ナチュラルビューティーベーシック)」「MARGARET HOWELL」などがその例です。

 多彩なブランドを展開していますが、どれも洗練されたデザインであるため、ほかのアイテムとコーディネートしやすいといえます。

 シンプルなデザインは差別化が課題になりがちですが、デザイナーズブランドとしての地位を確立している同社の場合は、独自の世界観を築いている製品が多く見られます。顧客がほしいと感じる製品を開発しているからこそ、長く愛されるブランドとして成長を続けているのです。

ECでの販売が売上の34.5%

 株式会社TSIホールディングスでは、駅ビルやファッションビルなどの非百貨店やECでの販売に力を入れています。同社は個性の強いブランドが多いため、ひとつのECモールに全ブランドを集めるのではなく、ブランド個別のECサイトを構築している点も特徴といえるでしょう。

 EC売上が全体に占める割合は約34.5%(2022年2月)で、今後もオンラインストアでの販売強化やブランドの再構築に力を入れる姿勢です。

 たとえば「nano・universe」では、2022年3月から約3年をかけてリブランディングを実施しています。すでに品番数約2割減、2020年比仕入れ数約4割減を達成するなど、在庫が残りづらい仕組みを整えている状況です。

 商品をきちんと売り切る体制を整備することで、さらに品質の高い商品づくりを強化していく方針を示しています。

 また、ECの強化だけでなく、オンラインとオフラインをつなぐOMO戦略にも力を入れています。顧客体験プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を導入し、店舗でもその顧客のオンラインでの行動データを活用できる仕組みを作っています。また、京セラのデジタルハンガーを利用し、店舗で手に取ったり試着したりした商品の情報をレコメンドするという、EC同様のサービスを導入しています。

定価での販売比率が高い

 株式会社TSIホールディングスが販売する商品の特徴として、定価での販売比率の高さが挙げられます。一般的にアパレル業界のプロパー消化率(定価で売れる商品の割合)は、30~40%程度とされており、アパレル業界ではセール販売が基本となっている例も少なくありません。

 しかし、TSIホールディングスの「ADORE(アドーレ)」は、30万円ほどのコートが真冬になる前に完売するという実績を上げています。同社はコロナ禍の影響から事業構造改革を加速させており、2023年にプロパー消化率を全商品で約80%まで高めることを目標に掲げ、利益率の高い構造への転換を目指しているのです。

TSIホールディングスの最近の動き

 株式会社TSIホールディングスは、新たな試みにも積極的に取り組んでいます。最近の動向について見ていきましょう。

ネット専業の新ブランドを展開

 2021年8月10日、株式会社TSIホールディングスはネット専業の新ブランド「MECRE(メクル)」を2021~2022年の秋冬シーズンにかけてスタートさせることを発表しました。同ブランドでは、Instagramで15万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーをブランドディレクターに起用し、新たなニーズの掘り起こしに取り組んでいます。

 ネット専業のブランドとしてはやや高めの価格設定ですが、品質を重視した商品開発に注力することを表明しています。SNSの運用やデジタルマーケティングのノウハウを活かしながら、新たなブランドの構築に動き始めているといえるでしょう。

京セラと共同でOMOの実証実験を実施

 2021年12月10日、顧客の店内行動をデータ化する行動取得システムを京セラと開発することを発表しています。新たなデータマーケティングの実現に向けた実証実験という位置付けです。

 カスタマージャーニーに沿ってECと店舗の境界線をなくし、ブランドの体験価値を高めることを狙いとするもので、実店舗で半年間の試験運用を行い、データ収集や分析に取り組んでいます。

TSIがシタテルに出資、国内生産強化

 2022年7月13日、アパレル生産プラットフォームを展開するシタテル株式会社に出資することを発表しました。国内生産の強化と生産効率の向上を狙いとしており、両社の強みを活かした事業展開を目指しています。

 シタテルは、アパレルと縫製工場をつなぐクラウド型の「シタテルクラウド」を展開しているスタートアップ企業です。同サービスには約1700社の縫製工場・生地メーカーなどと、約2万2,700社のブランドや企業がすでに登録しています(2022年7月現在)。

 株式会社TSIホールディングスは山形県米沢市と宮崎県都城市に自社工場を所有していますが、IoT化を進めている米沢工場において、シタテルと組むことで工場直結型のファクトリーブランドの立ち上げを実現しようとしています。

 また、中小規模のD2Cブランドのクラウド支援や受注生産型のブランドの立ち上げなども検討している様子です。

目を通しておきたいTSIホールディングスのトピックス

まとめ

 株式会社TSIホールディングスは、国内でアパレル事業を展開していた2社を統合する形で設立された会社です。複数のブランドを保有するだけでなく、組織力を活かした事業展開を行っています。

 ネット専業の新ブランドを立ち上げるだけでなく、OMOの実証実験や自社工場の生産効率の強化など、時代の変化に合わせたビジネスモデルの構築に力を注いでいる点が特徴です。

 ECの販売を強化しつつも、高品質の商品を定価で販売していく仕組みを整えており、さらなる成長が期待できる企業といえるでしょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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