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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

おさえておきたいEC・通販先進企業

健康食品のサントリーウエルネスが通販で成長を遂げた理由

 「セサミン」シリーズなどの健康食品を開発・販売しているサントリーウエルネスは、実店舗販売よりもECサイトやカタログなどを通じた通販で大きな成長を遂げた会社です。なぜ実店舗よりも通販を重視しているのか、近年はどのようなアプローチに力を入れているのか解説します。

 サントリーウエルネス株式会社は、健康食品の研究開発と販売で業界でもトップクラスのシェアを誇る会社です。「セサミン」シリーズをはじめとする数々のヒット商品を世に送り出してきた同社は、実店舗販売よりもECサイトや広告、カタログを通じた通販が主な販売経路となっています。

 この記事では、そんなサントリーウエルネス株式会社がなぜ通販に力を入れているのか、具体的にどのような施策を通じて通販で成果を収めているのか、詳しく解説します。

サントリーウエルネス株式会社の企業情報・事業内容の概要

 まずは、サントリーウエルネス株式会社の基本的な企業情報について、確認しておきましょう。

サントリーウエルネス株式会社の企業情報

 サントリーウエルネス株式会社の基本情報は、以下の通りです。

社名 サントリーウエルネス株式会社
本社所在地 東京都港区台場2-3-3
設立年月 2009年4月(ホールディングス移行とともに設立)
代表者名 代表取締役社長 沖中直人
株式公開 非上場
資本金 5億円
おもなグループ会社
  • サントリーホールディングス株式会社(親会社)
  • 株式会社コネクト

サントリーウエルネス株式会社の事業内容

 サントリーウエルネス株式会社は、現サントリーホールディングス株式会社がホールディングス体制に移行する際、健康食品開発などのウエルネス事業を担うべく設立された会社です。サントリーが培ってきた長年の食の科学研究や品質管理技術のノウハウをヘルスケア分野にも活かすべく、事業を立ち上げました。

 1993年に発売したゴマの健康食品「セサミン」は大ヒットを記録し、後に健康科学研究所を設立して研究開発に一層力を入れるなど、同ホールディングスの主力事業となりつつあります。

 セサミンの改良版である「セサミンEX」や「自然のちから」シリーズ、健康増進サプリの「グルコサミン アクティブ」や「グラン マカ」など、多数の主力商品を手がけています。販売網はおもに自社ネットワークの通信販売で、基本的に店頭には並べず、カタログや広告経由の販売、自社ECサイトでの販売を行っているのが特徴です。

サントリーウエルネス株式会社の沿革

 以下の表は、サントリーウエルネス株式会社の沿革をまとめたものです。

沿革
1899年 サントリーホールディングスの礎となる鳥井商店を開業。ぶどう酒の製造販売を開始
1923年 蒸溜所建設に着手し、ウイスキーづくりの中で「酵母の研究」を始める
1960年頃 「酵母バンク」設立。酵母の美容への活用に着手
1984年 油脂領域の研究に着手
1993年 初代「セサミン」販売開始
2007年 サントリー独自の化粧品開発に着手
2010年 酵母エキス配合の60代向けのスキンケア「エファージュ」誕生
2013年 グルコサミンに加えて、加齢とともに減少する軟骨成分と、筋肉成分を配合したサプリメント「ロコモア」発売
2020年 「エファージュ」が進化。サントリー独自の先端美容研究の成果を凝縮し、高度な年齢肌対策を促進

 1899年にサントリーの前身である鳥井商店が開業した後、本業である酒類の製造販売に合わせ、酵母研究や油脂領域の研究を進めました。独自の健康科学研究所を設立し、各地に拠点を構えながら研究を行い、ヘルスケアや美容に応用できる成分の開発・配合が行われた結果、数々のヒット商品を誕生させています。

 最初にヒットしたサントリーの健康食品は、ごま油を主軸に開発された「セサミン」シリーズです。ビタミンEを配合することで高い相乗効果を発揮し、その後も改良を加えながら今日まで広く普及する商品となりました。

 また、油脂研究だけでなく酵母バンクを立ち上げ酵母研究にも取り組んでいた同社は、酵母エキス配合のスキンケア商品「エファージュ」を誕生させ、こちらもヒット商品となっています。何年もの時間をかけて研究を行ってきた積み重ねこそ、サントリーウエルネス株式会社の最大の強みといえるでしょう。

サントリーウエルネス株式会社がECを主体とする理由

 元々、サントリーウエルネス株式会社は各商品を店頭で販売していたものの、その売り上げは決して芳しいものではありませんでした。ところがこれを通販に切り替えた途端、売り上げは急成長を遂げ、ベストセラー商品をいくつも打ち出すことができるようになったのです。

 ここでは、同社がなぜ通販に切り替えて売り上げを伸ばすことができたのか、そして今後どのように通販を成長させようとしているのかについて、解説します。

ECが顧客と向き合えるダイレクトマーケティングを後押し

 サントリーウエルネス株式会社が店頭販売で今ひとつ成功を収められなかった理由については、当初その成分の価値をうまく見込み客へ伝えられなかったことが原因とされています。たとえ効果の高い健康食品でも、自分にとって必要な商品であることが消費者に伝わらなければ、購入にはつながりません。

 そこで販売手法を通販へと転換し、顧客一人ひとりの悩みに応えるダイレクトマーケティングを実践することで、成果につながりました。顧客の悩みに耳を傾け、最適なソリューションを提案することで、強力なファン層を形成できたというわけです。

 また、同社は通販事業を営むだけでなく、顧客満足度向上に向けたサービスのアップデートも進めています。2023年8月には自社ECサイトをリニューアルし、顧客ニーズに合わせた仕様変更や、デザインの刷新を行いました。

越境ECで羽ばたくサントリーウエルネス株式会社の価値

 EC経由の通信販売を主力事業としているサントリーウエルネス株式会社ですが、近年は国内だけでなく、国外需要に向けた越境ECにも注力しています。

 最近はアジア地域における商品販売網の構築に取り組み、2018年より中国最大規模のプラットフォームである京東商城の越境ECサービスに出店しています。京東の物流網を使ったワンストップサービスにより、独自に販売網を構築することなく、速やかに中国全土へ商品を提供しています。

 台湾においても同社製品の売れ行きは好調で、2021年12月期の売上高は前期比6.5%増の1,095億円を達成するなど、売り上げにおいても確かな存在感を発揮している点に注目です。

サントリーウエルネス株式会社の最近の動き

 サントリーウエルネス株式会社は近年、健康食品のみならず、コスメ分野での売れ行きの好調も目立ちます。ここでは同社の動向について、知っておきたいものを解説します。

2022年12月期の売上高は前期比4.6%増の1,145億5,300万円を達成

 2023年4月の発表によると、2022年12月期の営業利益は、前年同期比で7.7%増の162億3,600万円に達したということです。増益につながった理由として、同社は認知機能ケアの機能性表示食品「オメガエイド」や、ヒザ関節ケアの機能性表示食品「ロコモア」の売れ行きの好調を挙げています。

 またマーケティング施策も新たに見直したことで、費用対効果が改善し、支出の圧迫を回避できたことも要因だったとのことです。

メンズ化粧品が好調。売り上げは想定の3倍へ

 上記の売上高成長を支えたもう一つの要素が、メンズ化粧品の好調です。サントリーウエルネス株式会社が新たに発表した男性向けオールインワン化粧品「VARON(ヴァロン)」は、発売からわずか半年で20万本以上売り上げたと発表がありました。

 この数は2022年12月期中の売り上げを、期初想定の3倍にあたる10億円に上方修正したほどのインパクトがあったとして、直近での大きなヒット商品となりました。

 このような好調な売れ行きの要因の一つは、購入者向の体験価値を高める目的で実施しているCRMのコミュニケーションの存在です。

 女性は化粧品の取り扱いに慣れている一方、男性はその経験がなく、オペレーターによるサポートを受けながら使用したいというニーズが大きいことに気づいた同社は、CRMを目的とした手厚いサポート環境を整備しました。

 コールセンターの丁寧な電話接客の結果、「VARON」の継続率が大きく向上することにつながったのです。顧客が抱える肌の悩みに応じ、適切なケアの方法を提案した結果といえるでしょう。

クオール薬局と提携し「通販を利用しない」顧客を開拓

 実店舗での販売には消極的であったサントリーウエルネス株式会社ですが、2023年6月、調剤薬局のクオール薬局と提携し、クオール薬局店舗での、同社製サプリメントの販売を開始しました。

 この店頭販売の取り組みはサントリーウエルネスとしては初であり、通販サービスの利用経験がないクオール薬局に来訪するユーザーを新規顧客として取り込むことが狙いです。

 高齢者層やサントリーウエルネスの存在を知らない層は、ニーズに合致していても通販特化では利用してもらえないというケースも少なくありません。今回の店頭販売の実践によって、より多くの人に商品を知ってもらい、体験してもらえるでしょう。

サントリーウエルネス株式会社の気になるトピックス

 その他、サントリーウエルネス株式会社の気になるトピックスをまとめて紹介します。

2023年9月4日:大人の男性用スキンケアブランド「VARON(ヴァロン)」2023年販売計画を30億円に上方修正

 サントリーウエルネス株式会社は、大人の男性用スキンケアブランド「VARON」の2023年販売計画を、当初の23億円から、約1.3倍にあたる30億円に上方修正する。

2023年6月1日:大人の男性向け洗顔料「VARON(ヴァロン)フェイスウォッシュ」新発売

 サントリーウエルネス株式会社は、大人の男性向け洗顔料「VARONフェイスウォッシュ」を6月1日(木)から新発売する。

2023年4月13日:クオールとサントリーウエルネスが地域の健康支援に関する協業開始

 クオール株式会社とサントリーウエルネス株式会社は、クオール薬局を利用する地域のお客様への健康支援に関する協業を4月13日(木)より開始。

2022年9月5日:武蔵野美術大学・日本橋浜町エリアマネジメント・LIFULL・コンセント・サントリーウエルネスが地域の課題と企業のミッションを実現する産官学プロジェクトを実施

 武蔵野美術大学・一般社団法人日本橋浜町エリアマネジメント・株式会社LIFULL・株式会社コンセント・サントリーウエルネス株式会社は、地域の課題と企業のミッションを実現する産官学プロジェクトを実施する。

2021年3月29日:サントリーウエルネス「まちごとWellnessプロジェクト」始動

 サントリーウエルネス株式会社は、Jリーグのクラブチームである川崎フロンターレと「タウンコミュニケーションパートナー」契約を締結し、「まちごとWellnessプロジェクト」を4月より開始。年齢を重ねた方々に、自分が住むまちでのつながりを通じて、笑顔や健康を提供することを目指す。

まとめ

 この記事では、サントリーウエルネス株式会社について、その通販の活用方法や越境ECへの挑戦、そして近年の販売戦略などについて解説しました。

 健康食品やコスメに特化した商品開発と販売を行う同社は、約100年続く研究開発の歴史とノウハウを受け継いでおり、ほかにはない商品開発力で強力な差別化を実現しています。唯一無二の商品の魅力を確かに感じてもらううえで、ECを活用した通信販売は同社にとって非常に有効な手段であり、今後も重宝されることでしょう。

 ただ販路を拡大するための手段としてではなく、通販でしか伝えられない魅力があるという考え方は、ほかの企業においても当てはまるケースがあるかもしれません。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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