ECzine読者の皆様、こんにちは。株式会社インクワイアリー 代表の後藤です。当連載では、これまで2回に分けて「飲食店・食品業界×ECの可能性と失敗しないポイント」と「飲食店・食品業界のデジタル・SNS活用」についてお伝えしてきました。連載最終回の今回は、飲食店・食品業界で上手にECやSNSを活用する企業・ブランドを、当社が担当する事例からご紹介します。
コロナ禍に独立を決心 チーズケーキブランドの事例紹介
今回ご紹介するのは、福岡県福岡市城南区別府の中村学園大学前にあるチーズケーキ専門店「Cheesecake Lemon」です。店舗は2021年にオープンしましたが、プロジェクトが発足したのはその1年前の2020年。当社にいただいた1件のお問い合わせから始まりました。
オーナーは当時まだ料理人として会社勤めをしていました。コロナ禍が始まったばかりで飲食業界の行く先が見えない状況の中でも独立を意識し、これまでの経験からチーズケーキ事業を展開したいという想いを持って、当社へ相談にいらしたというのが、プロジェクト発足の経緯です。
当初は物件を工場として借り、リアル店舗を持たずにEC専門店として運営・商品販売をする考えでした。融資先へ提出する提案書や事業計画書、オープンからの売上予測などの詳細を拝見した上で、売上に関しては「ECの場合、強い話題性や広告活用がないかぎり、初月から大きな売上を上げることは難しい」と実情を正直にお伝えしたことを覚えています。代替案として「地元での認知をまずリアル店舗で広げてからECへ注力する」という提案を行い、互いに意見交換をした結果、テイクアウトとイートインを兼ね備えたリアル店舗の展開から行う方向性が決まり、次のステップへと進むことになりました。
ブランド構築はプロジェクト化するのがおすすめ
「地元での認知獲得」と言っても、ただオープンすれば自然と広がるものではありません。リアル店舗を認知してもらい、今後ECでもD2Cで事業展開をする上では「ブランド構築」が重要になります。オーナーが当社に相談をしてきたように、自らの手で0からさまざまな分野の業務を依頼する事業者を探して個別に案件を進めるよりも、すべてのセクションを取りまとめてひとつのプロジェクトとして進めたほうがブランドとして統一性を保つことが可能です。そこで、当社のこれまでの繋がりを活かしてさまざまな事業者を紹介しながら、プロジェクトの企画からオーナーと当社が中心となり進めていくことになりました。