2017年9月に10周年を迎えた「北欧、暮らしの道具店」。開始当初からコラムやメルマガでコンテンツを発信、SNSごとに最適化した投稿でフォロワーを増やし、「ECサイトのメディア化」に成功。自社サイトは、月間約1,600万PV、ユーザー数は約150万MAUを超え、Facebookページは40万いいね!、Instagramには60万フォロワーと支持を得ている。そしてついに、Publisher(出版社)たることを宣言し、2015年7月からスポンサードコンテンツ「BRAND NOTE」を開始している。
圧倒的な商品数とスピード感で利便性を提供する、巨大な小売ECにしてプラットフォーマーのAmazon。それに対し、同じインターネット上で小売として勝負する場合、消費者に変わってセレクトする「目利き」力が問われる。そのためには、実店舗のセレクトショップが内装や接客までこだわりを見せるのと同様、ECサイトも写真やコンテンツ、梱包や会社組織まで統一されて編まれていなければならない。「北欧、暮らしの道具店」はそれに取り組む、数少ない企業である。そうして究極の世界観を突き詰めていった小売ECサイトの最終形が、Publisher化という形なのかもしれないと考え、今回取材に訪れた。「BRAND NOTE」事業を統括する、事業開発グループ マネージャー/プランナーの高山達哉さんに話を聞いた。
セレクト小売ECがPublisherに 「BRAND NOTE」が誕生するまで
「北欧、暮らしの道具店」は、北欧の生活雑貨などを販売するセレクト小売ECサイトで、代表である青木耕平さん、“店長”である佐藤友子さんの兄妹ふたりで始めた事業だ。順調に成長するうちにメディアからも声がかかるが、自社サイトでのコラム以外ではなかなか顔が見えなかったふたり。しかしSNSの登場により、北欧ファン以外も彼らを放っておかなくなった。Facebook、Instagramのフォロワー数はもちろん、いいね!数などに見える反響が大きい。つまり、ユーザーの支持を得ており、エンゲージメント率が高いということだ。
その背景には、コンテンツを作り、発信し続けられる編集体制がある。コンテンツマーケティングブームの際に引き合いに出されるたび、代表の青木さんはそれを、「ECサイトのメディア化」という表現でやんわりと否定していた。ECサイトに集客するためにコンテンツを発信しているのではない。バイヤーが商品をセレクトした小売ECサイトは、すでにメディアであり、すでに編集業務を行っているのだと。商品もコラムも、コンテンツのひとつなのだ。さらに、SNSに関しては、自社サイトのコンテンツの二次利用ではなく、各メディアのフォロワーに向け、最適な形でコンテンツを投稿し、運営していく「分散型メディア」を早くから提唱。積極的な採用により出版社以上に充実した編集体制で、それを実現してきた。
独自のコンテンツを作り、ユーザーに届けることができるようになった「北欧、暮らしの道具店」では、スポンサードコンテンツ、いわゆる記事広告の「BRAND NOTE」を2015年7月から開始する。
「自分たちが本心からお勧めできるものだけ」「1ヵ月につき4社」という方針のもと運営。開始早々、問い合わせが多数寄せられ、サービス開始から約2年45ブランド・140本のBRAND NOTEを配信。2017年10月からは、記事以外のメニューも増やした「BRAND NOTE PROGRAM」として提供を始めている。