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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

季刊ECzine vol.24定点観測

信頼の構築を最優先に ビジョン実現へシステム活用を

 EC事業者がおさえておきたい13のテクノロジー関連トピックスの「定点観測」。フラクタの河野さんに、ECシステムについて聞きました。※本記事は、2023年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.24』に掲載したものです。

サステナブルな発信も必須 利益より先に信頼を構築せよ

 継続的なEC運営には顧客にリピートしてもらうことが必須であり、そのためにCRMは欠かせない。顧客と良好な関係を維持していくためにどうすれば良いかはビジネスにおける究極の問いとも言える。メルマガにLINE施策を加えればそれで解決というわけにはいかない。

 ここ数年はCX(顧客体験)がバズワードとなり、企業としての顧客への向き合いかたと各接点における体験の向上が議論されてきた。システム投資によってある程度体験を向上することは可能だが、資金さえあれば模倣しやすい取り組みでもある。システムがコモディティ化すれば、最終的にはブランドが問われることになるわけだ。

 関連して、昨今はサステナブルがキーワードとして注目を浴びているが、企業は取り組みを行うだけでなく、情報発信を行っていくことが必須になると河野さんは言う。

「従来は、サステナブルな取り組みを行っていると売上が上がる、企業のPR活動になるとの側面がありました。しかしこれからは、顧客もステークホルダーの一員として、搾取を行っていない、地球環境のことを考えているブランドを選択するようになると思います。顧客から選ばれるブランドになるためには、サステナブルな活動を積極的に発信していかなければならない。たとえば、毎週送っているメルマガに『CO2の排出をこれだけ減らしました』といった記載があるかないかでも違いが出てくるでしょう」

 欧米では、サステナブルな消費を心掛ける消費者を「コンシャスコンシューマー」と呼ぶ。彼らは多少価格が高くとも、サステナブルな取り組みを行うブランドを選択する。物価高騰と賃金停滞が指摘される日本社会において、消費者はそのような選択肢を採るだろうか。

「消費者教育が行われていないのは課題だと思います。チャットAIのChatGPTの不適切回答などが話題になっているのがわかりやすい例ですが、技術が発達して便利になるほど、その恩恵を享受する側の倫理やリテラシーが重要になってきます。その教育が十分に行われず、一部の企業が儲かれば良いという発想になりトラブルが多発すると、国が消費者を保護するためにさまざまな規制を行わざるをえなくなります。

 サステナブルとも関連してきますが、儲かれば何をしても良いという発想の企業とは付き合いたくないと消費者が自発的に思えるような教育が必要だと考えます。そうでなければ、物価高の影響もあって、倫理よりも安ければ安いほど良いという発想でものを選ぶようになるでしょうから。消費者が本来得られる利益を享受し、搾取や環境汚染などを気にせず安心して買い物ができるよう、信頼を構築していくことはブランディングにおいて重要なことであり、企業の義務だと考えています」

 新しいシステムが登場した際、それにいち早く反応するのは、ビジネス感度が高いとも言える。たとえばShopifyが日本に上陸した初期の頃、本来の意味でD2Cを営むことができると感度の高いブランドに採用されてきた。だが新しいシステムが認知され、さまざまなユーザーが参入すれば、利用しているECシステムを基準にブランドを選択することは難しくなる。

「商売の難しいところは、利益が出ていると正しいと思われがちなことです。しかしながら商売の根本には信頼があるべきで、長期的な視野でサステナブルに関係を構築していこうというのが本来のCRMであるはずなんです。CRMに必要な機能が揃ったシステムを導入したからといって信頼関係が構築できるわけではなく、最後の一線は人間の倫理感が問われるコミュニケーションになってくる。消費者にも審美眼が問われることになりますが、信頼して良いブランドかどうかをパッと見で判断するのは難しい。結果的に面倒になり、買い物自体を避けるところへ行き着くのは避けたいのですが。まず利益を上げるのではなく、信頼を積み重ねていった結果、利益も上がるフレームワークを作ることに時間を費やすべき時がきているのだと思います。その上でシステムをどう使っていくかという順番です」

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