他社と手を組みEC・店舗のデジタル化を加速
オンライン上で顧客とコミュニケーションを取る手段のひとつとして、今やさまざまな事業者が活用しているLINE。デジタル接客にも活用できるビデオ通話などの機能強化も進んでいるが、2021年5月14日には店舗スタッフをDX化するシステム「STAFF START」を提供するバニッシュ・スタンダードと業務提携契約締結を発表。同社のシステムを活用するスタッフのオンライン接客とLINEの活用を組み合わせ、新たな接客体験の提供と買い物体験のリデザインを目指した新サービス「LINE STAFF START」を共同開発する。
同サービスの具体的な取り組みとして現在発表されているのは、次の2点だ。ひとつめは「店舗スタッフのLINE公式アカウントでオンライン接客(チャット、ビデオ、LIVE配信)を実現」。STAFF STARTに登録している7万人超の店舗スタッフがLINE公式アカウントを開設できるようにし、販売のプロから直接購入ができる環境を構築する。LINEが持つチャットやメッセージ、ビデオ通話、LIVE配信機能を活用してリアルさながらの接客体験を提供した上で、STAFF STARTが提供する売上計測などの仕組みを活用し、効果の可視化を実施。デジタル接客でもモチベーションを保つことができる仕組みを作り上げる。今後は、アパレル業界に限らずコスメ・食品・家電量販店などや、小売業だけではなくサービス業など、さまざまな業界での提供を順次進めていく予定だ。
ふたつめは、「店頭での購買履歴や来店履歴との連携」である。デジタル会員証などをLINE上で提供することで、LINEアカウントと紐づいたオフラインでの購買履歴取り入れを実現。購買履歴や来店履歴に基づいた情報をLINE公式アカウント経由で提供したり、日々の接客に活かしたりと既存の体験をより充実させることが可能となる。
「LINE STAFF STARTは、2021年内のサービス提供開始を目標としています。アパレル業界に限らず、さまざまな業界へ新たな接客体験の提供と買い物体験のリデザインを行う予定です」
また、LINEは同日にフィードフォースとの業務提携契約も発表している。店舗やEC運営を行う事業者は、この動きにも要注目だ。具体的には「EC事業者向けLINEログインパッケージ」と「実店舗事業者向け会員証パッケージ」のふたつを提供すると言う。前者はECサイトにLINEログインとMessaging APIを簡単に導入できるID連携サービス。LINEを活用したCRM、1to1コミュニケーションを実現するために必要な機能をまとめて導入できるようになる。後者は、LINEアプリ上にデジタル会員証を作成・搭載することでLINEを通じた会員管理とコミュニケーションの自動化・最適化を実現。両社は今後、LINEのユーザーIDを軸にさまざまなサービスと連携可能なマーケティング基盤を構築し、各領域の事業者との連携も進めることで、ECおよび店舗のDX推進を目指すとしている。