購買意欲に影響を及ぼす誤訳や誤表記 立場を置き換え想像しよう
日本には、「奇妙な日本語」のファンがたくさんいます。中国製品に限らず、外国製品のタグや商品説明に日本語を母国語とする人々が普段使用しない表現、誤った文字が記載されているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。これらを見つけた人が面白がってSNSなどに投稿し、拡散されるケースは数多く存在しています。
しかし、蓋を開けてみると中国でも数年前から「日本生まれの奇妙な中国語」が話題になっていると言います。こちらが商品を売り込みたいと考えても、解読不明の中国語を使ってしまい、十分な訴求ができていないのは大問題です。加えて、誤読されるような中国語を表示していたことで購入者からクレームを受けるといったトラブルにもつながりかねません。そこで、今回は「日本語と中国語の翻訳問題」について考えてみましょう。
まず、奇妙な日本語と奇妙な中国語の性質の違いについてです。奇妙な日本語は、主に文字についての知識不足が原因と見られます。たとえば「し」と「レ」、「ン」と「ソ」の混同といった具合です。私は以前、「ラーメン」という日本語がとても奇妙に表示されているケースに遭遇しました。残念ながら写真に収めていなかったので、画像で再現してみることにします。
日本語を母国語とする人からすれば、音引きの「ー」の方向が縦書きと横書きで異なることは常識中の常識ですが、作成した人はそれを知らずにそのまま縦に並べてしまったのでしょう。日本語の文字に馴染みがない人は当然「ー」の使いかたも知りません。そのため、このような問題が発生しやすくなります。もちろん、言葉遣いが妙なケースも多々存在します。
最初に奇妙な日本語をご紹介したのは、身近な例から皆様に考えていただきたいと考えたからです。もし、自身が欲しいと感じた商品の説明で妙な日本語を見かけたら、どのように感じるでしょうか。「この事業者は安心できるのだろうか」「あまり真面目な仕事をしていないな」と不安を感じたり失望したり、いずれにせよ購買意欲が下がってしまうのではないでしょうか。中国人の視点から見ても、これは同様なはずです。
つまり、海外市場に商品を売り込む場合、現地の人々が使う言語をいい加減に扱っては、競争力そのものが減じてしまいます。BtoB販売の場合は購入者側もプロであるため、「言葉の問題はさておき、製品についてしっかり調べてみよう」となる可能性もあります。その上でよい商品であれば、実害はさほどないかもしれません。しかし、BtoCの場合は奇妙な言葉に接した時点で信用を失い、門前払いになってしまうでしょう。実店舗であれば商品を直接に手に取ることができるため、「商品としては大丈夫そうだ」と判断してもらえるかもしれませんが、ECでは大きな影響を及ぼすと考えなくてはなりません。