既存システムの抜本的改修なしにUI改善できる「flamingo」
アイスリーデザインでは、前述したサイト改善における課題を解決するため、次のふたつの価値提供を行っている。ひとつめは、「お客様専任チームによるスピーディーな検証と分析・提案」だ。開発ベンダーに単発で案件を発注し、契約を交わす従来の方法は時間もコストもかかり、方向修正も容易ではない。その点、同社では半年や1年といった長期スパンの契約を結んで専任チームを構築。週単位で計測や分析、提案を行うことでPDCAサイクルを高速で回し続ける体制を整えている。
「お客様の依頼を受け、依頼に沿った施策を実施するのではなく、デザインパートナーとして対等に立ち、お客様のサービスをより良くするための方法を共に考えるという発想で取り組んでいます。この手法により、我々が持つUI/UX改善やビジネスの知見を十二分にお客様に提供できると考えています」(武本氏)
ふたつめに武本氏が挙げたのは、同社のUI/UX改善ソリューション「『flamingo』によるPDCAサイクル高速化」だ。専任チームで長期的に案件を担当することで、企業が抱えるリソース不足や知見不足といった課題は解決できるが、サイトが大きすぎる、システムが古すぎるといった根本的な課題は解消されない。flamingoはこうした課題へのソリューションとして提供されている。その特徴は、「既存システムに触ることなくUIの変更が可能」、「サイトにタグを埋め込むだけで導入可能」、「A/Bテストを容易に実施することが可能」の3点だ。
つまり、flamingoであればシステムのコードやサーバーに直接手を加えることなく、どんなサイトであってもUI/UX改善のためのPDCAの高速化を実現することができる。
続いて武本氏は、flamingoを活用してサイト改善を行った事例を3つ紹介した。UI改善を継続的に実施している例として取り上げたのは、大手小売/流通企業の総合通販サイトにおける次の5つの施策だ。
1. 離脱率改善
従来、ページ上部に固定されていた検索フォームを画面上部に常に追従させる形に変更したほか、「カテゴリから選ぶ」という項目を新規追加。ユーザー動線を明確にすることで離脱率の改善につなげている。
2. ユーザー単価向上
ユーザー単価向上において重要となるのは、併売率アップである。そこでアイスリーデザインは、レコメンド枠の新規追加を行った上で枠内に商品画像を表示させ、訴求力の向上を図った。こうした施策を複数実施することで併売率を上げ、ユーザー単価向上にもつなげている。
3. CVR改善施策
お気に入りボタンを直感的に操作できる色味に変更したほか、固定されていたカートボタンを追従型にしたり、商品詳細情報の表示項目を絞り込み、エキスパンドボタンの活用で必要な人のみが閲覧できる状態にしたりと、カートまでの動線を整理。コンバージョンまでの距離を縮めている。
4. SEO改善
ページ数が多いサイトでも、容易にmetaタグの変更を施すことができるのがflamingoの大きな特徴と言える。同サイトでは、シーズンごとに最適なmeta description、meta titleを設定し、時節に適応したSEO改善を実施。加えて、サイト内にリンクを追加することにより、内部リンク構造の強化にも取り組んでいる。
5. A/Bテスト
ここまで紹介した施策の効果を計測するため、大手小売/流通企業とアイスリーデザインは常時A/Bテストを行い、検証と改善のサイクルを繰り返すことで、長期的な改善につなげている。A/Bテスト実施による既存システムへの影響は生じないため、大規模サイトでも、速やかな対応が可能となる。
ふたつめに紹介したのは、デバイスごとのUI最適化を行った株式会社ピーチ・ジョンの事例だ。同社では、flamingoを用いて継続的なUI改善を実施する中で、デバイスごとのUI最適化にも取り組んでいる。flamingoではパソコン・スマートフォンに適したUIを作成するのみならず、タブレット端末に最適化されたUIやChrome、SafariなどブラウザごとのUI表示も実現可能だ。これにより、企業はレスポンシブウェブだけでは実現できないピンポイントかつ丁寧なマーケティング施策を進めることができる。
武本氏は、3つめに大手金融機関で行ったサイトUIの抜本的な改善について紹介。同サイトは、flamingoを活用してサイトUIを大きく刷新しており、こうした大規模改修が実現できる点も大きな強みであると解説した。
「サーバーサイドのシステムが起因して、サイトの改修が容易に行うことができないというお客様に対しても、flamingoであればお力添えすることが可能です」(武本氏)