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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2021 Winter レポート(AD)

継続的なUI/UX改善で成果につなげる サイト改善で踏まえるべきポイントを伝授

 ECサイトのユーザー体験をより良くするには、UI/UXの改善が欠かせない。2021年1月28日・29日に開催された「ECzine Day 2021 Winter」にて、「圧倒的なスピードで結果を出し続けるUI/UX改善ソリューションについて~大手ECサイトでの成功事例を包み隠さずご紹介!~」をテーマに、株式会社アイスリーデザイン プロジェクトマネージャー 兼 UI改善チーム シニアマネージャーの武本拓也氏が登壇。大手小売/流通企業をはじめとし、さまざまなECサイトに導入されているウェブサイトUI/UX改善ツール「flamingo」を活用した事例や、改善実施のノウハウについてレポートする。

ビジネス、デザイン、テクノロジーの3方向から企業のDXを支援

株式会社アイスリーデザイン プロジェクトマネージャー 兼 UI改善チーム シニアマネージャー 武本拓也氏

 アイスリーデザインは、ビジネス、デザイン、テクノロジーの3つの力を用いて、新規事業やイノベーションを創出するDX支援企業である。武本氏ははじめに、同社が実践するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについて、このように伝えた。

「当社は、DXを単なる『デジタル化』とはとらえていません。デジタル技術に加え、ビジネスへの広い知見や成功に向けたシビアな視点、デザイン思考の柔軟な発想と最新のテクノロジー。この3つを融合することで、サービスの構造を変革する。こうした意味でのDX支援を、さまざまなお客様に向けて行っております」(武本氏)

 アイスリーデザインでは、プロジェクト初期、実装、グロースの各フェーズにおいて、幅広くDX支援のフレームワークを展開している。同セッションでは、主にグロースフェーズにおけるサイト改善ソリューションについて紹介すると語り、続いてユーザー体験をより良いものとするためにサイト改善を行う際の理想的なプロセスについて述べた。ポイントは次の3点だ。

 サイト改善に着手する際、最初に行うべきはサイトの分析だ。分析結果を基に論理的な仮説を設定し、それに基づいた施策を実施することが求められる。改善方法やデザインのトレンドといった情報は、インターネット上で検索すれば得ることができるが、それが必ずしも自社のサイトの課題解決に適した施策とは限らない。また、短期的に施策を実施しても、抱えている課題そのものの改善は難しい。まずは自社サイトの特徴や課題を分析し、仮説を立てる必要がある。

 仮説に基づき施策を実施した後は、定量的な計測と結果を踏まえた方向修正が欠かせない。どれだけ論理的にサイト分析を行ったとしても、それはあくまで仮説にすぎない。実態と仮説に乖離があった場合に万が一放置してしまうと、成果が期待する方向に進まないのみならず、本来かからないはずの余計なコストまで生じてしまう。これらのPDCAサイクルを高速で回していくことが、理想的なサイト改善のプロセスとなる。

「これらが理想的な進めかたであることは、疑いようのない事実です。しかし、実践に移すことができているサイトは、そこまで多くないという現状があります。我々が支援を行うお客様の中にも、さまざまな事情によりこのプロセスを実現できないという方が多くいらっしゃいました」(武本氏)

 では、具体的にサイト改善のプロセスを妨げる課題として、どのようなものが存在するのだろうか。武本氏は次の3つを提示した。

 ひとつめは、継続的な施策実施と計測をするためのリソース不足だ。自社内に対応できる人材がいない、開発ベンダーに依頼するコストが確保できない、といったケースが存在している。ふたつめに挙げられるのは、計測を実施することができても、有効な仮説を立てる知見がないという課題である。Google アナリティクスを活用すれば、無料でCVRや離脱率の計測は可能だが、数値が示す課題や結果の原因、改善方法などについて仮説を立てることができなければ、効果的な施策につなげることは難しい。

 そして、3つめはさまざまな外的要因により自社内で素早くPDCAサイクルを回すことが困難であるといったケースである。とくにサイトの規模が大きいものや運用期間が長く、使用するシステムが古い場合にこうした課題にぶつかることが多い。そして、課題改善のハードルが自由な施策実施やPDCAサイクルの高速回転を阻むという悪循環に陥ってしまうといった具合だ。こうした課題に対し、ソリューションを提供するのが、アイスリーデザインが手掛けるサービスとなる。

既存システムの抜本的改修なしにUI改善できる「flamingo」

 アイスリーデザインでは、前述したサイト改善における課題を解決するため、次のふたつの価値提供を行っている。ひとつめは、「お客様専任チームによるスピーディーな検証と分析・提案」だ。開発ベンダーに単発で案件を発注し、契約を交わす従来の方法は時間もコストもかかり、方向修正も容易ではない。その点、同社では半年や1年といった長期スパンの契約を結んで専任チームを構築。週単位で計測や分析、提案を行うことでPDCAサイクルを高速で回し続ける体制を整えている。

「お客様の依頼を受け、依頼に沿った施策を実施するのではなく、デザインパートナーとして対等に立ち、お客様のサービスをより良くするための方法を共に考えるという発想で取り組んでいます。この手法により、我々が持つUI/UX改善やビジネスの知見を十二分にお客様に提供できると考えています」(武本氏)

 ふたつめに武本氏が挙げたのは、同社のUI/UX改善ソリューション「『flamingo』によるPDCAサイクル高速化」だ。専任チームで長期的に案件を担当することで、企業が抱えるリソース不足や知見不足といった課題は解決できるが、サイトが大きすぎる、システムが古すぎるといった根本的な課題は解消されない。flamingoはこうした課題へのソリューションとして提供されている。その特徴は、「既存システムに触ることなくUIの変更が可能」、「サイトにタグを埋め込むだけで導入可能」、「A/Bテストを容易に実施することが可能」の3点だ。

 つまり、flamingoであればシステムのコードやサーバーに直接手を加えることなく、どんなサイトであってもUI/UX改善のためのPDCAの高速化を実現することができる。

 続いて武本氏は、flamingoを活用してサイト改善を行った事例を3つ紹介した。UI改善を継続的に実施している例として取り上げたのは、大手小売/流通企業の総合通販サイトにおける次の5つの施策だ。

1. 離脱率改善

 従来、ページ上部に固定されていた検索フォームを画面上部に常に追従させる形に変更したほか、「カテゴリから選ぶ」という項目を新規追加。ユーザー動線を明確にすることで離脱率の改善につなげている。

2. ユーザー単価向上

 ユーザー単価向上において重要となるのは、併売率アップである。そこでアイスリーデザインは、レコメンド枠の新規追加を行った上で枠内に商品画像を表示させ、訴求力の向上を図った。こうした施策を複数実施することで併売率を上げ、ユーザー単価向上にもつなげている。

3. CVR改善施策

 お気に入りボタンを直感的に操作できる色味に変更したほか、固定されていたカートボタンを追従型にしたり、商品詳細情報の表示項目を絞り込み、エキスパンドボタンの活用で必要な人のみが閲覧できる状態にしたりと、カートまでの動線を整理。コンバージョンまでの距離を縮めている。

4. SEO改善

 ページ数が多いサイトでも、容易にmetaタグの変更を施すことができるのがflamingoの大きな特徴と言える。同サイトでは、シーズンごとに最適なmeta description、meta titleを設定し、時節に適応したSEO改善を実施。加えて、サイト内にリンクを追加することにより、内部リンク構造の強化にも取り組んでいる。

5. A/Bテスト

 ここまで紹介した施策の効果を計測するため、大手小売/流通企業とアイスリーデザインは常時A/Bテストを行い、検証と改善のサイクルを繰り返すことで、長期的な改善につなげている。A/Bテスト実施による既存システムへの影響は生じないため、大規模サイトでも、速やかな対応が可能となる。

 ふたつめに紹介したのは、デバイスごとのUI最適化を行った株式会社ピーチ・ジョンの事例だ。同社では、flamingoを用いて継続的なUI改善を実施する中で、デバイスごとのUI最適化にも取り組んでいる。flamingoではパソコン・スマートフォンに適したUIを作成するのみならず、タブレット端末に最適化されたUIやChrome、SafariなどブラウザごとのUI表示も実現可能だ。これにより、企業はレスポンシブウェブだけでは実現できないピンポイントかつ丁寧なマーケティング施策を進めることができる。

 武本氏は、3つめに大手金融機関で行ったサイトUIの抜本的な改善について紹介。同サイトは、flamingoを活用してサイトUIを大きく刷新しており、こうした大規模改修が実現できる点も大きな強みであると解説した。

「サーバーサイドのシステムが起因して、サイトの改修が容易に行うことができないというお客様に対しても、flamingoであればお力添えすることが可能です」(武本氏)

試行錯誤が着実に成果につながるUI/UX改善

 武本氏は、ここでUI/UX改善の具体的な効果について紹介を行った。あるアパレルECサイトでは、サイトに遷移し決済完了画面に至るまでの各画面に改善施策を実施。これにより、決済完了画面までの遷移率が30%改善したほか、ユーザー単価も15〜20%上昇していると言う。

 総合ECサイトの事例では、お気に入りボタンのUI改善により、お気に入り登録率が40%アップ。特定画面において実施した離脱率の改善施策では、離脱率を30%下げることに成功している。ただし、こうした成果はひとつの施策によって成果が現れるものではないと武本氏は述べた。

「さまざまな施策を行い、検証した上で方向修正をする。そしてさらなる改善につなげる。どの企業も、こうした試行錯誤を繰り返した末に成果を得ることができています。その点については、ご理解いただければと思います」(武本氏)

 セッションの最後に武本氏は、「より良いユーザー体験を描く上での明確な答えは、現状存在しません。ユーザーにとって本当に価値があり、ビジネスの成果にもつながるUI/UXは、定量的な検証と分析、継続的なPDCAサイクルを回した上で見つけることができるものです」と改めて説明。自社内でフロー構築が困難な企業に向け、最適なソリューションをアイスリーデザインは提供すると述べた上で、次のように締めくくった。

「これまで以上に不確実性と複雑性が増していく世界において、いかにスピードと柔軟性をもって適応し、より優れた価値を世の中に届けていくのか。アイスリーデザインは、お客様のDXを支援することで、そうした新たな価値創出に貢献できると自負しております」(武本氏)

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://eczine.jp/article/detail/8827 2021/03/17 11:00

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