目の前の顧客を知り、合わせることの積み重ねがCXとなる
withコロナとも言われるように、緊急事態宣言が解除されたからと言って、生活がビフォアコロナとまったく同じに戻るわけではない。オンラインコミュニケーションはその場しのぎのものではなく、当たり前のチャネルのひとつとして存続していくだろう。KARTEはサービス開始当初「ウェブ接客」を打ち出し、5年間をかけてオンラインコミュニケーションのためのさまざまな機能を追加し、進化してきたという経緯がある。
「KARTEは、サイトにポップアップメッセージを表示するところから始まり、チャットやアプリからのメッセージ配信、行動データのリアルタイム解析など、さまざまな機能を追加してきました。オンラインコミュニケーションを積み重ねるうちに、プレイドとしても『もっとこんなことができたら』という発見があり、ユーザー企業様からもご要望をいただいたからです。KARTEの根幹は、1人ひとりの顧客をより深く知り、顧客により合わせること。今回、チャットによるオンラインサポートから始めていただいた場合にも、『もっとこうしたい』という発想が湧いてくると思います。そのための仕組みはKARTEに備わっていますし、顧客をより深く知ることで得た知見を、ほかのマーケティング施策にも活かしていただけると思います」
チャットツールはあまたあるが、KARTEの特徴は、目の前の顧客の背景や文脈を知ったうえでコミュニケーションが取れることだ。どんなサイトの、どのページをどれだけ閲覧したか、どのような回遊を行っているか、こうした過去の行動から顧客について想像することができる。そのうえでチャネルやメッセージを選択できるか否かは、最終的にはCXの質を大きく左右するはずだ。
「オフラインでは、目の前の顧客に合わせ、反応を見て接客が行われています。それがオンラインでは、PVやCVRと数字に置き換わり、そのハックに重点が置かれてしまっていました。オンラインでも1人ひとりにあわせた接客が重要だとの考えから、『ウェブ接客』という言葉を作り、KARTEをリリースしました。『顧客を知る・合わせる』を深め、広めていくうちに今のCXプラットフォームにまで進化しました。しかし、ウェブ接客という単語に込めた『顧客体験をより良くしたい』という思いは、今と変わりありません」
とくに実店舗を持つ企業から「ECでは接客ができない」との声がもあり、ニーズはあった。EC市場の拡大とともに、ウェブ接客も成長し、ひとつの市場と言える規模になった。一方で、クーポン表示やチャットツールを導入することそれ自体がウェブ接客と解釈されることも起きていた。
「KARTEリリース当初の機能はミニマムでした。それでもお付き合いいただいた企業様は、メッセージに共感いただき、ともに歩んでくださいました。それから5年、KARTEの機能が充実していくにつれ、導入企業様のKARTEユーザーが、ひとりのマーケターからチームへ、企業全体へと広がっていきました。今では、CXに真剣に向き合い、先進的な取り組みを行っている企業として注目されるKARTE導入企業様も多くいらっしゃいます。KARTE利用当初から顧客体験を重んじ、コミュニケーションに試行錯誤を重ね、企業全体としてCXを考えてこられたからだと思います」
そしてCXが注目を浴びたことで、KARTEのユーザー企業はECだけでなく、金融業界のカスタマーサポート、メーカーのオウンドメディアなどさまざまな業種業態に広がっている。
「ウェブ接客はマーケティングのひとつの要素でしたが、 CXになると企業全体の取り組みです。経営層の方も課題感を持ってプロダクトに触れていただけるなど、もう少し広く、大きい概念として認知されていると感じます。KARTEは拡張性と自由度が高いことも特徴ですから、将来的にもっと広く活用できるとご期待をいただけているのかもしれません」
たとえばアパレルのPAL CLOSETでは、プライベートDMPのような役割を期待して、顧客データや行動データ、オフラインデータなど分断されたデータベースを統合する「KARTE Datahub」を採用し、顧客を「深く知る」取り 組みを実施。そして、MAやBIなど多様な外部サービスとの連携することで顧客に「合わせる」を実行。さらには、実店舗の販売員の支援をKARTEから行うなど、オムニチャネルにも貢献している(参考記事)。
オムニチャネルを説かれても、組織構造やビジネスモデルから、個人や部署の売上やUI/UXを追いかけることが継続されていたビフォアコロナ。今回のコロナ禍をきっかけとしてうまく活用し、企業全体のCXまで視野を広げてアクションが行えるかが、大きな分かれ目となりそうである。
「顧客はオンライン/オフラインの境目のない行動をしています。顧客が接するすべてのチャネルで、どのような体験を提供できるかを考える時に来ているのではないでしょうか。KARTEがまず貢献できるのは、オンラインでの体験です。数字、データ、効率といった言葉から、オンラインに対し冷たい印象を抱く方もいらっしゃいますが、オンラインの向こうにもやはり人がいます。オンライン上の顧客も数字ではなく、オフラインと変わらない人である。そういう感覚を持てるお手伝いがKARTEによってできるのではと考えています。プレイドでは、長期的にCXをともに考えていくパートナーとしてお付き合いをさせていただきたいと考えていますので、ぜひご相談いただければと思います」